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都市伝説 No221 10cmの隙間から話しかけてくる隣の女の子

マンションの隣に住む小さな女の子はよく話しかけてきてくれてとても可愛らしい。でも何時まで経ってもその姿を見ることはなく――。

賃貸マンションに住んでいた頃、
お隣りの部屋の4歳くらいの女の子とベランダ越しによくお喋りをしていた。

私がベランダで洗濯物を干したり、草花の手入れをして いると、
隣とこちらを区切るパーテーション?
の10cmほどの隙間から覗いて声をかけてくるのだ。

しかしある時から何故か覗いてはくるものの、
話しかけてはこなくなり、私が視線に気づいて
声をかけても、ただ見ているだけで何も反応してくれなくなった。

何か嫌われるようなことしちゃったかな?
と思ったけれ ど、特に気にすることもなく、
見てたいなら見てていいよ? くらいの気持ちで、
視線を感じてもそちらを見ないようにしたりしていた。

ある日、プランターの片付けをしている時に、
また視線を感じたので、思い切って声をかけてみることにした。

『たまにはお話しよーよ』

と言いかけて、言葉が詰まった。

そこには小さい女の子ではなく、
四十年配のボサボサのロングヘアーの女が、
10cmほ どの隙間の向こうからしゃがんでこちらを見ていたから だ。

私は『何ですか?』とも『こんにちは』とも言えず、立 ち尽くしてしまった。

何故なら、その女性が何ともいえない顔で笑っていて、
見てはいけないものを見てしまったような気持ちになっ たからだ。

彼女は存在を気づかれてからも一言も発することなく、
私が軽く会釈して片付けを済ませるまでこちらを見ていた。

一年後に我が家が引っ越しをするまで、ベランダで時々 視線を感じたが、
そこにいたのが女の子だったのか、あの女性だったのか 、
確認することは怖くて二度と出来なかった…。