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海怖『一人足りない』

海にまつわる怖い話はなぜか、人間の数が多いもしくは少なくなるといったものが多いようです。人になりすます異形のものとは一体――。 


70: 本当にあった怖い名無し 2007/09/12(水) 13:22:56 ID:pN4GeN3fO

うちの父の話。

父は釣り好きでよく会社の同僚と釣りに行くんだが、
その日も同僚と二人で夜釣りに出かけた。

港までは車で行き、そこから船で釣り場に向かった。
その釣り場というのはそこそこの広さの岩でできた小島のようなもので
そこそこと言ってもまあ島全体を見渡せるようなところ。

その釣り場に船が着き、
まず父と同僚が降りその後に中年男性の三人組が降りて船は出た。


父と同僚が釣りの準備をしていると、
近くで同じく準備をしていた三人組のうちの一人が、
ふっと立上がり釣りに向かった。

父は、もう準備できたの?早いなあ、なんて思いながらその人を見ていた。

それから父と同僚も準備を終えその日は夜通し釣りを楽しんだ。

朝になって出発した時と同じ船が迎えに到着したので
父は同僚とその船に乗り込んだ。

同じ島で釣りをしていた三人組は先にその船に乗り込んでいた。
そして船が出発してすぐに父はあることに気付いた。

三人組のうち先に準備を終え釣りを始めた男がいないのだ。
三人いたのは自分の勘違いかと思った父は同僚に確認するが、
同僚もたしかに三人いて先に釣りを始めた男がいないと言う。
気になった父は三人組だったはずの二人にそのことを尋ねた。

するとその二人は始めから二人しかいなかったと言い
もう一人の男のことは見ていないと言う。
父は、まさか海に落ちたんではないかと思い、
出発した時と同じである船の船員に尋ねるが、
昨日あの島で降りたのは父と同僚を含めた四人だけだったと言うのだ。

まあ結局なんだったのかはわからなかったみたいだけど、
父がこんな嘘をつくようなことはないし、
同僚の人も見たってことで実際にあったってことは間違いないと思う。