
都市伝説「映画「エクソシスト」は実話!?悪魔と法王と国際エクソシスト協会」 No317
エクソシスト(悪魔祓い)
【国際エクソシスト協会】

「CBC NEWS」より
国際エクソシスト協会とは、カトリック教会の組織であり、創立者の中には世界的に有名なカトリック教会のエクソシストも含まれていた。
司祭が参加するには司教の許可が必要である。また、教会法により、エクソシスムの儀式については、司教の特別の認可が必要であり、対象者は儀式の前に、医学的な検査を受けなければならない。また、医師は儀式に立ち会わなければならない。
先日、キューバやアメリカを来訪し世間の注目を集めているローマ法王ですが、
2014年に法王自らが、300人からなる悪魔払い師の団体「国際エクソシスト協会」をバチカンの組織として正式に支持することを表明したことは記憶に新しいかと思います。

フランシスコ・ローマ法王
「悪魔憑き」なんて、映画や小説の中だけのファンタジーだと思う方もいるかと思いますが、「悪魔」が存在するかどうかは「悪魔の証明」になってしまいますので、その話は置いておいて、実際にこの世の中に「悪魔祓いをする国際エクソシスト協会」は存在するということはお伝えしたいと思います。
悪魔の証明とは、「ある事実・現象が『全くない(なかった)』」というような、それを証明することが非常に困難な命題を証明すること。
例えば「アイルランドに蛇はいる」ということを証明するとしたら、アイルランドで蛇を一匹捕まえて来ればよいが、「アイルランドに蛇はいない」ということの証明はアイルランド全土を探査しなくてはならないので非常に困難、事実上不可能であるというような場合、これを悪魔の証明という。
【エクソシストと呼ばれる人】

国際エクソシスト教会が、ローマ法王によって公になったわけですが、
エクソシストとは、どういったことをしているのかよく分からない人も多いかと思います。
エクソシスとは、主にカトリック教会の用語で、エクソシスムを行う人のことを指します。
エクソシスムとは誓い、厳命を意味するギリシャ語で、カトリックでは洗礼式の時に悪魔を捨てる誓約があり、その後悪魔にとり憑かれてしまった場合、その悪魔を追い出して正常な状態に戻しています。
キリスト教での正式な悪霊祓いの方法は「ローマ典礼儀礼書」で定められており、洗礼時に行われる簡単な御祓いのようなものと、エクソシストと呼ばれる映画でよく見る、民衆にお馴染みの儀式があります。
後者を行う前には対象が普通の病気かどうかよく確かめ、そのうえで悪霊祓いをするそうです。
悪魔が憑いているかどうかは、聖水や十字架を近づけると嫌悪するので、それで判断できることもあるそうです。
また、儀式で使うアイテムは儀式のやり方が書かれた本、十字架、聖別された聖水や御香などシンプルです。

『ローマ典礼儀礼書』
悪魔祓いの正式な規則
・エクソシストはどんな場合でも、自分のところにやってきた信者が本当に悪魔に憑かれているのか、それともたんに妄想をいだいているだけなのを見極めなければならない。
それぞれのケースについて、その者が病気でないか、とくに精神性の疾患でないかを注意深く検討しなければならない。
・任務を引き受ける司祭は、清廉潔白な生活を送っており、知的で、勇気があり、謙虚であるべきだ。とくに重要なのは祈祷と断食である。
・悪魔祓いは、教会の規定に則って行なわなければならない。迷信じみた儀式はどんなものも避けるべきである。
・憑依された者にその能力がある場合には、祈祷、断食、告解、聖体拝領による悪魔祓いをしたいという気持ちにさせなければならない。
・悪魔祓いは、礼拝堂、教会、もしくは教会内の礼拝用の小部屋で、できるならば少人数で行なわれるべきである。十字架、マリア像を備える。両親、友人、その信者を精神的に導いている者が儀式に参加することは、エクソシストが力を得るうえで重要だ。
・儀式は聖水の散布によってはじまる。悪魔に憑かれた者は苦しみだす。
エクソシストは、苦しむその者に十字架を掲げる。悪魔の排除が一度で達成されない場合、必要ならば儀式を何度かくりかえし行なわなければならない。
・エクソシストはカソック、サープリス、紫色の頸垂帯を着用する。
エクソシストを行った結果、悪魔や悪霊が屈服して逃げていけば悪魔払いは成功となります。
もし、エクソシストを専門としている者以外の一般人やキリストを信じていない者が、形だけ真似をして悪霊追放をしようとすると大変危険だといいます。
聖書には、使徒パウロがイエスの名によって、悪霊を追い出しているのを見たまじない師が真似をして
「パウロの宣べ伝えているイエスの名によって命じる」と言って悪霊を追い出そうとしたところ、
悪霊が「自分はイエスを知っているしパウロも知っているが、お前たちは何者だ」と言って、
そのまじない師たちをひどいめに合わせたことが記録してあります。
実話をモデルにした映画「エクソシスト」
【メリーランド悪魔憑依事件】

映画「エクソシスト」とはウィリアム・ピーター・プラッティの同名小説が原作で、主人公である12歳の少女リーガンが悪魔にとりつかれ、2人の神父がそれに戦いを挑むというストーリーです。
映画内で少女が行う「スパイダーウォーク」「首が180度回転」のシーンが有名です。

「スパイダーウォーク」「首が180度回転」
この映画「エクソシスト」は、原作者であるウィリアムが、学生時代に新聞の記事で読んだとある事件が元になっているそうです。その事件とは1949年に起きた『メリーランド悪魔憑依事件』と呼ばれている事件で、「ワシントンポスト」紙に掲載されました。この事件に関わった助手の牧師が事件を日記に書いていたため、それを元にウィリアムが作品を製作したそうです。
映画では少女が悪魔に憑かれますが、事件では少年が悪魔に憑かれています。
メリーランド悪魔憑依事件の概要「Area501」より引用
メリーランド州コッテージシティ市に住む、とある少年の叔母の死が事件の発端となる。
少年は一人っ子で叔母によく懐いており、ウィジャ盤(西洋版コックリさん)やタロットをしてよく遊んだと言う。少年は叔母の死により大変ショックを受け、ウィジャ盤により死んだ叔母とのコンタクトを試しみたと言う。この事を切っ掛けに少年は謎の奇病に犯される事になる。
祖母の死後、少年は人格が豹変し、身体に「助けて!」「閉じ込められた」などの文字や顔が浮かび上がり、彼の周辺ではでは頻繁にポルターガイスト現象がおこるようになったと言う。
少年の両親は困り果て病院に連れて行くが解決せず、プロテスタントのシュルツ牧師の元を尋ねる。牧師は彼の奇病は悪魔憑きであると判断し悪魔祓いの儀式を行うが成功せず、カトリック教会に悪魔祓いを依頼する事になる。
教会はエクソシストであるヒュー神父とボーデン神父の2人を派遣する。
2人は2ヶ月以上の期間にわたって30回以上の悪魔祓いの儀式の末、悪魔祓いに成功する。
その後少年は平穏をとりもどし幸せに暮らしたと言う。
また最後に悪魔祓いを行った場所は封印され今も立ち入り禁止になっていると言う。
悪魔祓いの儀式で起こった怪奇現象
神父はイエズス会ジョージタウン大学病院において13歳の少年の悪魔祓いの儀式を指揮しました。
儀式の間、少年は神父に傷を負わせ激痛を与えました。そのため儀式が中断し、少年は家族の元へ帰されましたが、少年が家に戻った時、彼はわめき声をあげ胸の上に血で書かれた"St. Louis"という単語を家族が発見しました。その町は叔母のハリエットが亡くなった場所でした。
その後セント・ルイスに移動し、悪魔祓いを再開しましたが、少年は目を閉じていたにもかかわらず、神父の目に向けて唾を吐きかけました。
神父によれば、儀式の最中に少年のベッドが荒々しく揺れ、聖水の瓶が宙に浮き、"evil"や"hell"のような言葉やさまざまな模様が少年の体に現れたそうです。
また儀式の最中、少年が神父の鼻を折り、普段とは似ても似つかない恐ろしい声音のわめき声をあげたとか。
神父はその後、少年に取り憑いた悪魔の名前を吐かせます。
すると、少年の口から出た悪魔の名前はなんと「ベルゼブブ」。
悪魔の中でも最高位に位置する魔王でした。
悪魔の名前を聞き出し、悪魔祓いを成功させた後、
少年は"It's over. It's over."「終わった、終わったよ」と言ったと言われています。

ベルゼブブ
ベルゼブブとは、大悪魔で魔神の君主、あるいは魔界の君主とされるようになった。
地獄においてサタンに次いで罪深く、強大なもの。
権力と邪悪さでサタンに次ぐと言われ、実力ではサタンを凌ぐとも言われる魔王である。
ベルゼブブは神託をもたらす悪魔と言われ、また、作物を荒らすハエの害から人間を救う力も持っている。
この悪魔を怒らせると炎を吐き、狼のように吼えるとされる。
事件のその後
悪魔祓いが成功したその後、少年の悪魔付き現象については、解離性同一性障害、トゥレット症候群、統合失調症、集団ヒステリーといった一般的精神医学上の解釈がなされてきました。
しかし、少年のケースについて分析を行った精神分析医のテリー・D.・クーパー博士は
「この事件が一般的な精神医学では説明がつかない」という結論に達したといいます。
また、少年の周囲で起こったとされるポルターガイスト現象(引っかき音、家具の移動、学校の机が移動し衝突、花瓶が空中を飛ぶ、聖水の瓶が破裂など)は、計48人が目撃しており、目撃した場所も時間もバラバラであったことから、集団ヒステリーとも考えにくいそうです。
悪魔が憑くのは…

19世紀フランスの司祭、ジャン=マリー・ヴィアンネは実際に悪魔から身体的に攻撃を受け、生涯悪魔と戦った人として知られており、ベルナノスの小説のモデルにもなりました。
ヴィアンネ師いわく「悪魔のもっとも巧妙な手口は、人間に自分の存在を信じさせないようにすることだ」
悪魔は自身の存在を否定されると都合がよく、神の目を盗んですき放題できるそうです。
だからこそ、悪魔の存在を信じない人を好んでとり憑くと言われています。
近年、悪霊憑きの訴えが増加したため、2014年にバチカンは聖職者らにエクソシズムを教授する方針を決定したというニュースがありました。
科学が発展し、神も悪魔も信じない人が増えている今だからこそ、悪魔は多くの人々を狙っているのかもしれません――。
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