笑える霊体験

笑える霊体験『増毛』『三途の川』『日曜大工』『空腹の日本兵』

『増毛』

友達に話しても信じてもらえない霊体験。

5年前、実家の居間で昼寝をしてると

「けいすけぇ~、けいすけぇ~」

と俺の名前を呼ぶ声がした。
起きてみるとじいちゃんが目の前に立っていた。
俺はじいちゃんが氏んだ後に生まれたからじいちゃんの顔は遺影でしか見たことないけど、
すぐにじいちゃんだとわかった。

じいちゃんは俺の手をたださすっていた。
しばらくするとニカッと笑いそのまま光に包まれていった。
目覚めるとそれは夢だったとわかった。
だけど、遺影が倒れていたから多分夢にじいちゃんが現れたんだと思う。

しかし遺影を立て直してるときに異変に気づいた。
明らかにさっき現れたじいちゃんと髪の量が違うのである
さっき現れたじいちゃんはフサフサで髪も黒々としてたが、遺影のじいちゃんは森繁久弥ほどしか髪の毛がない

じいちゃんは俺の前でカッコ良くありたいとあの世で増毛したんだろうな



『三途の川』

臨死体験をした時の話なんだが、よく体験者が語られる様に
目の前に三途の川が広がり、向こう岸にはすでに亡くなって
いる方達がこちらに向かって手招きをして呼び寄せている。

行く気はサラサラなかったが、なんとなく水温やら深さ等の
感触を確かめたく手足を浸けて遊んでいた時、知らないじ
いちゃんが川上から流れてきた。

まるで溺氏体みたいな感じで流されてきが、ちょっと手を伸
ばしたら、なんとかじいちゃんの体の一部を掴めた。
体といっても幽体なので、掴みさえすればすくい上げるのも
造作ないわけで、こちらの岸にあげた。
しばらくすると、じいちゃんは意識を取り戻し、軽やかに起
き上がるとそのまま白い霧が現れ消えてしまった。

多分、そのじいちゃんが実在し、元気に生きているとするならば俺のおかげだと思ふ。


『日曜大工』

恐くない話だし笑える? のでも無いからスレチかもしれんが……

子供の頃オヤジと日曜大工してたんだ。廊下の隅に据え付け棚取り付けるとかで、
俺はその手伝い。オヤジ土木科出身で割と本格的。カンナ掛けて目とめしてそんで
釘打ちの段階になった。

トントントン、オヤジがげんのうを振るう。すると二回の階段からトントントンと下りてくる
音がした。母親と妹は買い物で居ない。うちにいるペットは目の前で鎖に繋がってる
犬だけだ。オヤジにも聞こえたらしく、ネコでも忍び込んだか? と不思議がった。

しばらく聞き耳を立てて、トントントンと釘を打ったら、またトントントン。それが何度か
繰り返されて、最後の数本になったのでオヤジの代わりに俺が打たせてもらった。
釘をトントントン、音もトントントン。もう一度トントン、とっ……痛ってぇ! 思いっきり
親指を叩いて俺が叫んだ時、ドン!ガラゴロッ! という感じの音が聞こえて、それきり
音はしなくなった。

オヤジ曰く、「階段から転げ落ちたんだな、お前が下手くそなせいで」それから一週間後
我が家に真っ黒なちびスケの迷いネコがやってきたのは、不思議な偶然。


『空腹の日本兵』

大学時代に旅行で沖縄行って、旅行終わって帰宅した夜、部屋に日本兵が出た。
目茶苦茶怖かったが、ただ立ち尽くしてるだけで暫くしたら消えた。

痩せてたし顔色悪かったし、戦争でお腹へって亡くなったのかな~と思い、
翌日はお茶とおにぎりを用意して待った。
その日も出たが、やっぱり立ってるだけで暫くしたら消えた。

数日お茶とおにぎりを用意して観察したが、同じ事が続いた。
私も「何が気に食わないんだろう」と思いながら
おにぎり増やしたり漬物付けたり味噌汁付けたりしてた。
そんな事が一週間くらい続き、連日夜中まで起きていた私はそろそろ眠気に勝てなくなった。
そこで、もはや和食フルコース(お茶、おにぎり、味噌汁、漬物、焼き鮭、煮物、お饅頭)と化した食事を用意し、
その日は早めに就寝。

夜中に気配で目が覚めて、コッソリ見たら、日本兵ガツガツ食ってた。
ちょっと泣いてた。
全て飲み食いした後に立ち上がり、私に向かってビシッと敬礼して消えた。
以後は来なかった。

朝、日本兵が食べたと思った食べ物は一応形は残ってたけど、
どれも一晩じゃ考えられないくらい水分が抜けてカラカラになっていた。
お茶と味噌汁は無くなってた。

祖父(徴兵経験は無い)に話したら
「男ってのは生きてても氏んでてもそういうもんだ。変な意地がある。
若い娘に飯がっついてる所見られたくなかったんだろ」
と言っていた。

最初毎晩観察してた私が生ゴロしにしてたのか……と思うと少し申し訳ない。