海の怖い話

海の怖い話『犬神憑きと呼ばれる家族』『救急隊員の一言・・・今年も出たかぁ・・・』 

7月18日は「海の日」で、海の日とは「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日」です。今日は海に出かける方もいらっしゃるかと思いますが、海にはこんな怖い話もあるのでお気を付けください――

『犬神憑きと呼ばれる家族』

俺、四国に凄い田舎に住んでて、子供の頃から知り合いの漁師さんから聞いた話。

たまにその漁師さんと沖に伝馬船だして貰って釣りに行く。
いつものように竿だしてると、その人が

「お前足どしたん?」と。

みてみると丸く赤く腫れてる、何処で出来た傷なのかまるで検討も付かない。
漁師さんの顔が急に真剣になり

「お前だれぞに恨まれるような事してないか?」と。

全く身に覚えがない事を伝えると

「それ犬神かもしれんけん、とりあえず原因解るまで船にはのせれん」と。

釣りは中止、急いで病院に行くことになった。んで見て貰った結果、桜の花粉かなんかに負けてるって言われた。

それから犬神発言が気になってしょうがなくて、その漁師さんの家で聞いた話
仮にその漁師さんをAさんとします、ちなみに年齢は70代後半かな。

Aさんがまだ若い時、その漁師町には犬神憑きと呼ばれる家族がすくなくとも4つ以上あったらしい。
その犬神憑きの人達は見た目から違ってて、一目見るだけで解る風貌をしてたそうです。
なにか困ることがあると、と言うより嫉妬、恨みの願い事があればその家に行き
作物、魚等を持って行き対象の人物の名前を言うだけで良かったそうです。
その後その対象の人物の体の一部に犬に噛みつかれたような痣が付き不幸が訪れる、と。

お払いを受けた後、傷は消えて漁も普通に出来るようになったそうです。
暫くたったある日、犬神憑きの家の人が尋ねてきて、お前の肩に犬神を付けたのは~~だ、と言いに来たそうです。
その時その相手に犬神を憑けてやろうか、と持ちかけられたそうです。

Aさんは気持ち悪いのと、早く帰って欲しい、犬神憑きの人間と付き合いがあると隣人に知られるのが嫌で
丁重にお断りして帰って貰ったそうです。

一応、俺が聞いた話は以上です。



『・・・今年も出たかぁ・・・』

去年の今頃、先輩と二人で日本海にサーフィンに行った。

一応、フル装備で行ったが、水温が予想外に冷たく、『寒い』と言うより『痛い』だった。
俺と先輩はサーフィンを断念し、カニでも喰いに行こう!と、近くのカニ鍋を出してくれる民宿に泊まる事にした。

風呂で暖まった後、夜の海が見える部屋で酒を飲みながら喰うカニ鍋、最高だった。
二人ともほろ酔いになりかけの頃、先輩が

『おいおい!こんな時間に波乗りしてる奴おるぞ!』と。
俺は『んな阿保な!』と言いながら海を見た。

すると、確かに、海にポツンと白いスエットスーツを着た奴がいる。
しかし時間はすでに夜の10時を回っている。

『あいつ、何してんすかね?』と俺は言った。

先輩はその『白い奴』をジーっと見つめたまま黙っていた。
俺は

『あいつ寒くないんすかね?っつーか、暗くて波見えんっしょ?』と言った。

その時、先輩が、その『白い奴』を見ながら

『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙アアア!』と気持ち悪い声を出しはじめた。

俺は何のギャグだ?と思い、先輩を見た。
先輩は一点(白い奴)を見つめながら、

『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙アアア』と不気味な声を出し続けた。

俺は先輩に

『いやいや、何の真似っすか?』

と聞いても返事どころか、その奇声をずっと出し続ける。
俺は訳がわからず、とりあえず先輩の両肩を揺すり、

『ちょっ!先輩!』

と言うと、先輩は

『ギヒィィィィィィ!』

みないな甲高い声を出し、泡を吹きながらその場に仰向けに倒れた。
俺は急性アルコール中毒かと思い、慌てて誰かを呼ぼうとした、その時、

『キイィー-ーン』

と、凄い高い音と共に頭痛がした。頭の中で鉄琴を叩かれたような。
俺は頭を抱え込み、うずくまった。
その音が段々と高くなってくる。
そして頭の中にその高音と共に、凄く低い男の声で

『おーーーい・・・おーーーい・・・』

と聞こえてくる。
俺は頭を抱えながら何気に窓の外を見た。

するとさっきの白い奴が海の上(海面)に立ちながら気持ち悪い動きをしながら、こちらに歩いている。
まるで全身の骨が折れたような、操り人形のような、
人間とは思えない動きで少しずつこちらに歩いていた。

俺は本能的に『ヤバイ!』と思い、とっさに卓上の食器やコップを壁に蹴りつけた。

『ガシャーン!!』

食器などが割れる音に気付いた民宿の従業員が駆け付けてくれ、それと同時に頭痛が消えた。
先輩は気を失っていた。


民宿の従業員はすぐに救急車を手配し、
駆け付けた救急隊員に

『食中毒の恐れがある』

と言われ、先輩と一緒に、俺も救急車に担架で搬送された。
救急車の中で隊員に『何か生の物を食べたか?』とか色々聞かれ、ありのままの事を答え、海に変な白い奴がいた事も報告した。

すると、三人いた救急隊員は何か気まずそうな雰囲気を出し、しばらく沈黙が続いた。
そして一人が

『・・・今年も出たかぁ・・・』

と小さな声で呟いた。

俺は何だか恐くなって、それ以上は聞けなかった。


p.s.
今では先輩も元気です。