除霊怖い除霊話

10年ほど前に働いていた職場には幽霊が3人住み着いているという噂があったというスレ主。3人のうち1人の幽霊が凶悪なため、霊媒師をよんで除霊をすることになったそうなのですが――(おうまがタイムズ)



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もう10年以上前の話なので、記憶が曖昧だったり、文章を書き慣れていないので見ていて不快な方もいるかと思うけど、その点はご容赦ください。


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当時、私は3年続けていた仕事をくだらない理由で辞めてしまい、早く次の仕事を見つけたくて奔走していました。
というのも、独り暮らしで貯金も僅かしかなかったので、資金が尽きたら実家に帰らなければならなかった。
実家はすでに兄夫妻が入ってしまっていたので、そこに転がり込むのは絶対に避けたかったのもあり、とりあえず給料のいいパチ屋でバイトすることにしたのが事の始まりです。



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バイトで入った頃はその地域ではかなり賑わっている店で忙しく、靴擦れや腰痛に悩まされながらも、バイト仲間とも早くに打ち解けてそれなりに楽しめていました。
そんなある日、早番が終わったバイト仲間数人がひそひそと話していたのを偶然聞いてしまったのです。
内容は、
「またかよ」
「今年で3組目だね」
「だからこの店で恋愛しちゃだめなんだって」
とかそんな内容でした。
(なんだ、恋愛話か)
と思った私は、「なになに?誰と誰が付き合ってるの?」て軽いノリで話に混ざりにいきました。
すると、明らかに空気が凍りつき、気まずそうな雰囲気に変わっていったのがわかりました。



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少しの間をおいて、女の子の一人が
「ここの店の伝説知ってる?」
と聞いてきたのですが、地元ではない私にはさっぱり。
すると言い出してしまった以上隠してもしょうがないとばかりに、次々とその伝説について話始めたのです。
その伝説とは
・店員同士が付き合うと必ず別れる
・その原因は霊
・過去にカップルの一人がここで自サツしたらしい
ということでした。
なので、別れたカップルは必ず一人は辞めてしまって人員に穴があくから、店員同士での恋愛は昔から禁止されてるそうだ。
まあ、なんの証拠もない他愛もない噂話だと思った私は、好みの女なんていないし大丈夫w
みたいなことを言って、女子達にケンカ売ってるの?とからかわれてその場は終わりました。
その翌年のこと



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たまたまなのか何かの縁なのか、正社員が次々と辞めてしまい、特に事情があってバイトという選択肢をしている人以外に正社員登用の話が店長からありました。
一人ずつ呼び出され面談をし、当時特にやりたいこともなかった私は、やりたいことが見つかるまでという約束で正社員の道に入ることにしました。
結局バイトから正社員になったのは私の他に一人。
足りない人員は他の店舗から異動という形で補うことになりました。
正社員ともなると、早番遅番の自由はなく、休みも週1しかなく、もちろん土日祝日GWお盆年末年始の休みなどなく、ハードな日々を送っていたのですが、正社員になって一番嫌だったのは、遅番での残業でした。



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定時は24:00なのですが、遊技台のメンテナンスや書類の作成など、やることが多く、定時に帰れることはほんとに稀で、遅番の日は毎回26時27時になってやっと帰れるのです。
そのやっと帰れる時間に「嫌なこと」が起きます。
事務所や休憩室は全て二階にあるのですが、出口は一階にしかありません。
一階と二階をつなぐ階段もひとつしかなく、否応なしにその階段を降りていくことになるのですが、その階段の踊り場に「嫌なこと」があるのです。
毎回じゃないのですが、薄暗い階段の踊り場の片隅だけが、異様に暗く重苦しい感じがし、「そこに何かいるのでは」という気持ちにされ、階段を降りるときは自ずと駆け足で通り抜けることにしていました。



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そんな日々を送って早2年、パチ屋は人の出入りが多いというのは本当のようで、私の上司にあたる主任や副店長も辞めてしまい、エレベーター式に私は主任になってました。
勤務態度も真面目で、バイト達とも仲が良かったことが目に留まったそうです。
ちなみに、私の働いていた店の主任の給料は手取り27万円。
後々、同じ業界の人に聞いたら、かなり安いそうですw
主任になると店長と顔を合わせる時間も多く、いろいろな話を聞かされました。
○○さんは今月負けすぎてるからそろそろヤバイかも(モニターとか店員の情報とかで、常連さんならどのくらい負けてるかくらい把握してる)
○○さんは明日○○番台座るだろうから出してやるとかも言ってました。
そうなると、現場に出る私が次の日常連さんを誘導して、○○番台そろそろ出そうじゃないですか?とか適当なこといって座らせるんですが、釘が開けてあっても出るか出ないかは運なので、出れば感謝され、出なければ恨まれる損な役割をするわけです。



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そんなこんなで気がついたら3年過ぎていた頃、店長の父が倒れ、実家を継ぐという理由で辞めることに。
そして、通常副店長が次の店長候補となるのですが、以前に副店長が辞めて以来、この店には副店長というポストがなく、実質3人いる主任が店長候補ということになるのですが、ふさわしい人物がいなければ他の店舗の副店長が異動してきて店長に収まるというのが通例でした。
しかし、今回はいつもとは話が違うようで、他の店舗の副店長は誰も来たがっていないそうだから、自店の主任から店長をたてるとのこと。
しかし、主任が3人いるとはいえども、私以外の主任はチャランポランで勤務態度も良くなく、案の定私に次期店長の話がきたのです。



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店長から呼び出され、どうだ?やってみないか?との話に、未だやりたいことがみつかっていなかった私はやります!と安請け合い。
釘の調整や書類の作り方などは主任の頃から叩き込まれているので、あとはマネジメントさえ覚えればやっていけるはず。
なにより1店舗の長になれるのが嬉しかったんです。
そして正式な辞令が降りるまで現店長からマネジメント業務やその他の引き継ぎを受け、明日いよいよ退社という時に事件の幕が開けるのです。



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いまでも鮮明に覚えています。
時間は午前2時。
事務所には最後の引き継ぎを終わらせた私と店長の二人。
店長が「これで全ての引き継ぎは終わったな、明日からお前がここの責任者としてやっていくわけだが、ひとつ伝えておかなければならないことがある」
と改まった言い方をし、次に出てくる言葉を身構えて待っていると、店長の口は信じられないようなことをいい始めます。
「ここには3人の霊が住んでる。男が一人と、女が二人。今は特に悪さはしないから大丈夫だとは思うけど、何かあったら俺に連絡よこせ。知り合いに霊感の強いやつがいるから助けてくれるはずだ。」
突拍子もない幽霊話にポカーンとしていた私は、頭の中で今の言葉を繰り返して整理しようとしていました。
そしてふと気になった言葉「今は」?
今はってどういうことだ?
このまま終わらせたら後味が悪いので、その真意を確かめることに。
「いま、店長は今は悪さをしてないっていいましたけど、悪さをしたときがあるのですか?」と訊ねてみた。
すると、バツが悪そうな表情を見せ、こう言いました。
「俺の前の店長の頃、業績が悪かったのは知ってるな?前の店長が決して下手くそだったわけではないんだ。他の店舗で業績を上げて実力的には社内で1~2を争う人物だった。しかし、気に入られなかったんだな。アイツらに」
(あいつら?)



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「アイツらといっても実際に害があるのは一人だけなんだが」
「ちょっと待ってください。害があるってかなりヤバイやつなんですか?なんでそんなの放っておいてあるんですか?除霊なりなんなりしてもらえばいいじゃないですか。」
と言った私の言葉が終わらないうちに
「ダメなんだよ。除霊はやったんだ。でも効かないというか逆効果だったというか、逆恨みされて怒らせた結果が業績悪化だ。」
(除霊はやった?失敗した?)
「とりあえず、まず男の霊なんだが、こいつは無視していい。階段の踊り場に普段はいて、たまーにイタズラするくらいだから。」
「え?イタズラするんですか?どんな?」
「お前は知らないだろうけど、朝方まで事務所に残ってると、たまにインカムのスイッチが勝手に入って「お疲れさまです」とか「了解です」って言うんだよwノイズで聞き取りにくいけどな。ただのイタズラw」
(いやいや、怖いから…)
「もう一人は?害があるのは一人なんですよね?」



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「うん、もう一人も害はない。俺がたまに事務所で寝てるの知ってるよな?」
「はい、新台の釘叩く時ですよね」
「うん。それ以外にも会議の書類まとめたりで泊まる時があるんだけど、このソファで仮眠していると、カッカッカッカッカッ……てハイヒールの音を響かせながらそこの通路を歩いていく。それだけw」
「なんか面白そうに言ってますけど、全然面白くないっす……」
「まあ、階段男とヒール女は直接なんかしてくるわけじゃないから、ただの同居人だと思っとけば慣れるさw」
(慣れねーよ…)
「それで、最後の一人がやばい」



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「ここって元々はうちの会社の店じゃなかったの知ってる?元々は○○っていうパチ屋で、うちの会社が買い取って改装したんだよ。」
「ええ、常連さんがよく言ってますね。昔はパンチパーマのいかつい店員がホールでタバコ吸ってるだけでいまみたいに玉運んだり掃除したりなんてしてなかったって。」
「昔のパチ屋なんてどこもそんなもんさw付け加えると、その頃の店員てカップルが多かったのよ。
今俺らが事務所とか休憩室で使ってる二階は従業員の居住スペースになっててさ、住み込みで働けるから夜逃げしてきた夫婦とか駆け落ちしてきたカップルには都合が良かったんだ。」



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「で、そのカップルの一組が元凶になったんだな。男が別の従業員とデキて、彼女と貯めてた貯金と店の金横領してトンズラしたわけだ。この時点でなんとなく解ったと思うけど、この女が自サツしたのよ。」
「……(カップルが別れるってこれが原因だったのか)」
「だからと言って特に悪さをしていたわけではないんだけど、俺の前の店長はそこそこ霊感のある人だったこともあって、業績が落ち込んでることに対しての本社の追求に思わずこの霊のせいかもしれないといってしまったんだな。」
「霊のせいにしたんですか」
「そう、本社は当然バカにした。でも後に引けなくなった当時の店長は自腹で霊媒師雇って除霊を始めた。
でも、この霊媒師ってのが胡散臭いやつで、誘導尋問のようにあれこれ聞き出したら御札貼ってさよならだったらしい。」



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「当然業績は回復せず、そればかりか除霊も失敗したみたいでいままで何もそれらしい現象は起こってなかったのに、いわゆる霊障ってやつが始まった。怒らせちゃったんだな。」
「店長は鬱病みたいになって、事務所でブツブツ独り言いいながら同じ場所をグルグル歩き回ってたのよ。
そんな姿を本社に密告したやつがいて、俺が代わりに店長になることになったってわけ。
もちろん、その店長は退社したけどね。
そのあとが大変だったよ。」



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「霊障って具体的にどんな?」
「俺は当時はまだ他の店にいたから詳しくはわからないんだけど、退社した店長の話では夜中釘を叩いていると開けておいたガラスが勝手に勢いよく閉まったり、仮眠してると扉をガンガン叩かれたりしたらしい。
そういうときには決まって体調が悪くなるんだと。
あと、従業員にも影響が出て、なぜかカップルの女のほうにだけイタズラしてたみたい。
イタズラっていっても無言電話とかラップ音とかの軽いやつ。」
(霊からの無言電話って軽いか?)
「その噂がいまでも残ってて恋愛禁止ってことになってるのよw
いまの奴等は絶対霊の仕業じゃなくててめーらのせいだと思うけどなw」
「はぁ…」
「で、俺が店長になってからもやっぱりイタズラは続いてて、困った俺は知り合いの霊感強いやつに来てもらったのよ。
そいつは普段は普通の事務員してるんだけど、知り合いに頼まれたときだけ無償で見てくれる奇特なやつでさ。
呼んで来たと思ったら開口一番これはやばいねってw
俺は何も教えなかったけど、女が自サツした部屋を一発で当てて、部屋に入ると一人で喋りだしたのよ。
後から聞いたら、霊と会話できる訳じゃないんだけど、質問に対してのyes・noくらいは解るから、一方的に質問するのがそいつのスタイルなんだと。」



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「質問の内容はちょっと詳しく覚えてないんだけど、こんな感じ。」
「あなたはここで自サツした女性ですか?」⇒yes
「ここの従業員の誰かに恨みがあって悪さをするのですか?」⇒no
「では、悪さをやめてもらえませんか?」⇒no
「みたいな感じ。で、質問しながらおかしいなと思った霊感者は、御札がどこにも見当たらないことに気がついた。
俺からの話では御札を貼ってあるはずなんだけどってことだったんだけど、俺も実際に御札を見ようとなんて思ったこともなかったし、わざわざこの部屋に入ろうとも思わなかったから、今さらあれ?って気づいたんだ。」
「もしかして自サツって首吊り?あーなるほどね。じゃあ天井裏開けてみてくれるかな?」
「て、言われて排気口取り外して天井裏を覗いてみたら御札があったのよ。」
「やっぱりそうか。それ剥がして見せてくれる?って言うから嫌だったけど渋々剥がして見せてやったら、これが原因だってことになった。」
「え?除霊のための御札がですか?」
「そうなんだけど、そいつの話では不完全な御札で、たぶん御祈祷もなにもされてない自前の御札なんじゃないかって。
自前でも描いてある内容は間違ってないから、中途半端に効力をもってしまって、霊が苦しみ続けてるだけという最悪の状態にしてしまってるんだと。」



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「で、後日ちゃんとした御札持ってくるから今日はここまでにしようって言って帰っていったよ。
不思議とそのあとは霊現象みたいなもんは無かったな。
一週間くらいしてから御札ができたからってまた来てくれて、また二人で夜中その部屋に行った。
そこで、これで貴方を苦しめていた御札は無くなりました。なのでもう悪さはしないでくださいね。って聞いたらyesって答えてくれたらしい。
でも、これじゃずっと住み着いたままだし、成仏させてあげられないのかって聞いたら、無理に成仏を促しても失敗すればまた荒れてしまうし、私にはそこまでの力はない。
だから、なんでもかんでも霊だからって消してしまうのではなくて、共存て考えももってほしい。だと。
あと、またなにあったら私を呼んでくれて構わないから。って」



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「共存ですかw私も共存しないといけないってことですかw」
「そういうことw幸い、その後はなにも悪さはしてないから、同居人程度に思っておけば危害は加えないはずだからよろしくたのむよwなんかあったら知り合いに頼んであげるからさw」
って感じでそろそろ行くわwって帰ってしまい、翌日皆の前でお別れを言って送別会をしました。



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それから数ヶ月、私も新店長として業務に馴染んできたころ。
その瞬間は唐突にやってきました。
新台の釘を叩くために徹夜覚悟で店に残っていた私は、少し仮眠をとることに。
当時は主任が3人いて、釘の調整は主任もやらせていたのですが、新台だけは私がやっていました。
新台がある程度客に馴染んできたころに主任に任せて、また新台を叩くというサイクルだったので。
その日の台数は28台もあったので釘の調整や試し打ちやらで朝6時は鉄板。
なので1時~3時の二時間程度仮眠を取り、残りを仕上げるつもりでした。
事務所のソファに体を預け、うとうととし始めた頃、突然カッカッカッカッカッとハイヒールを踏み鳴らすような足音が近づき遠ざかっていきました。
前の店長から聞いていたものの、実際にその場面に直面すると怖いなんてもんじゃない。
こっちにくるなよーと念じながらやり過ごしたあと、戻ってくる気配もないので仮眠をやめて釘の調整に戻りましたw
ホールは遊技台の電源が入っているので賑やかで騒がしく、霊の存在も気づかないだろうと思ってさっさと終わらせて帰ろうと思い、とにかく急いで終わらせました。



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予定より一時間ほど早く終わり、帰り支度をするために二階の事務所へ行くことに。
外もうっすらと明るくなってきているので、もう霊もでないだろうと思っていたのですが、久しぶりにアイツがそこに居ました。
階段の踊り場のヤツです。
私は姿は見えないのでなんとなく気配というか雰囲気というか漠然としたものなのですが、いつも居なかったのにその日はたしかに居たのです。
さて、帰れない。
帰るにはそこをもう一度通らないと帰れないから。
身支度だけ済ませてどうしようか悩んでいたら、今度はインカムの電源が勝手に入り、ジジッジジッとノイズをならし始めました。
慌てて電源を切りに本体のある別の部屋に向かったら、今度は廊下の奥から差し込む光を遮るように誰かが立っている姿が…。
もう階段の踊り場のヤツのことなんて忘れてダッシュで駆け抜けて帰りましたよ。
タイムカード切るのを忘れたのは家に着いてからでした。



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まあ、店長の出勤時間なんてあってないようなものなので、タイムカードのことはいいのですが、家に着いてからもなんで急にこんなことが起きたのかパニック状態。
しかし、前の店長から一通り聞いていたので、免疫があったのでしょう。
三時間ほど睡眠をとって、昼過ぎには店に出てました。
ちなみに、この霊の話は私の部下には一切言っていないので、下手に話して怖がられたら退職者が出かねない。
とりあえず自分の胸の中にしまいこみ、いつものように過ごしていたのですが、夜は新台の再調整の為にまた遅くなるのが怖くてたまらなかったです。
新台の調整って上手な人は一回で決めちゃうんですが、私はまだ駆け出し店長なので3日間くらいかけて調整するのです。
だいたい、初日は甘めにして、2日目は同じ機種毎にスタート回数が合うように、3日目は初日と二日目の出方次第で決めるみたいな感じ。



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なので、二日目の調整は手を抜くわけにはいかない。
一度帰って仮眠を取り、意を決して店にとんぼ返りすると、従業員はみな帰り、店は静まりかえってました。
※とはいっても遊技台の電源は入ったままなのでうるさいですが。
営業記録や書類関係の仕事を済ませ、1時半頃になってホールへ。
基本的な調整は終わっているので微調整を終わらせて4時くらいには二階の事務所へ。
また居る…。
気がつかないふりをして事務所へいき、帰り支度をしていると今度はハイヒールの音が聞こえてきます。
先日と同じく、左から右に歩き去っていき、聞こえなくなったところでダッシュで店の外に。
またしてもタイムカードを切り忘れた。



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もうタイムカードのことは気にしないとして、なんで?これから毎日?
あいつらと共存するのは無理だ…。
そもそもそんなに肝っ玉座ってないし…。
なんであの話を聞いたときに辞退しなかったんだろう…。
などと後悔ばかりしていたところ、そういえば困ったら相談してくれと言っていたのを思いだし、前任の店長に電話してみることにしました。
さすがに早朝では失礼だと思ったので、昼過ぎまでまって連絡してみると、相変わらず元気な口調で、「おーどうしたーw元気にやってるかぁー?w」
みたいな軽いノリに少し心が軽くなったのを覚えてます。
「どうしたもこうしたもありませんよ。○○さんが言ってやつらが昨日急に出てきたんです!どうしたらいいですか?」
「あー、そろそろかと思ってたよw」
「え?そろそろって?」
「いや、俺のときも、赴任して慣れてきたころに始まったからさw」
「なるほど。で、どうすれば?」
「だからいったろ?害はないから放っておけってw」
「いやいや、害はないといっても怖いですから…」
「まあそうだよな。じゃあ知り合いに頼んでみるからこっちから連絡するよ」
「ありがとうございます!」
と会話してすぐ、二時間後には連絡が入り、さっそく今夜来てくれるとのこと。



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従業員に見られるとまずいので、深夜2時に従業員が帰ったのを確認したら連絡するということにし、約束をしてもらいました。
予定通り1時過ぎには従業員はみな帰り始め、1時半頃には誰もいなくなったので店に来てもらうことに。
直接連絡せず、前任店長を挟んで連絡していたので知らなかったのですが、女性でした。
歳は30半ばくらいだけど、かなりの美人。
内心、ドキドキしていたのも束の間、さっそく耳を疑う言葉が。
「例のあの人、また怒ってる」
「え?だって御札張り替えたんですよね?」
「そうね。その時はそれが原因だったから収まったけど、今回はまた別のことかも。本人に聞いてみるしかないね。」
(マジか…)
霊感女性の後ろをついて例の部屋に向かう途中、
「他にも霊障があるんだって?でもそれは例の人が怒ってるから活発になっているだけで、悪さはしないはずだから安心していいからね。」
「はい」
(怖がっている時点で充分悪さなんですが…)
廊下の奥を左に曲がって3つ並んだ小部屋の真ん中で足を止め、
「ここね。」
と一言、おもむろに部屋の扉を開ける。
すると一瞬で重苦しい雰囲気が流れでてくる感覚を全身で覚えました。
「あなた霊感はあまり強くないのよね?霊感が強い人のほうが危ないからよかった。」
と言い、かなりまずいことになっているのが悟れた。
「御札は問題なさそう。でも、原因が解らないと質問もできないから、ここ最近で変わったことがなかったか従業員さんに聞いてもらえる?」
「え?今日は?」
「今日は何もできないね。気休めにお供えだけして立ち去ろう」
といって、用意してあったワンカップとミカンとかリンゴとか置いてその場を去りました。
「従業員さんを怖がらせないようにそれとなくね。なにか分かったら連絡ちょうだい。これ番号」
と、連絡先を教えてもらい、その日は帰っていきました。



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その日から3日かけて従業員たちに聞いてまわったところ、それらしい事が判明。
最近出入りするようになった客が、昔ここで働いていたと言っていたらしい。
もしかして女を捨てた野郎か!?と思った私は、直接その客に聞いてみることに。
しかし、私の勘は外れてました。
その客は女性で、たしかに当時ここで働いていたが、氏んだ女性とはただ同じ職場だったというだけ。
当時は住み込みの従業員の為に食事を作ったり洗濯をしてあげる人が数人いて、その方もその一人だった。
年齢的にも当時の氏んだ女性とは年齢差があったので、三角関係とは思えないからたぶん本当の話。
自サツした話が広まり、気味悪がった常連がごっそりいなくなったことで経営が悪化し、身の回りの世話をしていた従業員はみんなクビになったそうな。
氏んだ女性とは特に仲良かったわけでもなく、氏んだときもなんとなく顔を思い浮かべられる程度だったらしい。



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クビにされたのが不満でこの店には近づかなくなったのだが、いつも通ってる店がリューアルオープンのために長期休館になっており、チャリで来れる店がここしかなかったので仕方なく来たのだそうw
昔は活気があって良い店だったとか、私ですら知らない機種を並べ立てて今のパチは騒がしいだけで面白くないだとか聞かされた。
氏んだ女性についてなにか知らないか聞いてみるも、まともに話したこともないから噂程度しかしらない。
男が他の女と逃げて首吊り自サツしたってことと、首を吊る為に天井の換気口を外して屋根裏の柱にトラロープをくくりつけていたということだけ。



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(ああ、天井裏に御札があったのはそういうことか)
と思った程度で収穫はなかったが、一応霊感者に報告することに。
すると、霊感者はこんなことを言ってました。
「直接関わりのない人でも、当時のことを思い出させるのに事足りる人との接触は感情を波立たせるのには充分。
霊はどんなに時間が経ってても、当時の事を鮮明に覚えてるからこそ存在し続けることができるの。
だから、彼女にとっては炊事係であったそのお客さんの顔を見ただけで当時の感情がまた鮮明に蘇った。
もちろん男に捨てられた無念もね。
原因がわかればなんとかなると思うから、今晩またお伺いします。」
フットワークが軽くて助かる。
その晩も前回のように待ち合わせをし、いざ。
部屋に入ると相変わらず重苦しい空気。
誰もいるはずのない空間になにかの気配を感じました。
霊感者は落ち着いた声で質問を始めました。
「○○さん(お客さん)の姿を見て、思い出したゃったの?」⇒yes
「でも、もう彼はいないのよ?ここの人たちを怖がらせてはダメでしょ?気持ちを落ち着かせてくれない?」⇒no
どうやら怒りで見境ないようだ…。
ここで、私に向かって
「どしよう?今回はちょっと収まらないかもね。」
「収まらないってこのままってことですか?」
「いや、このままにしておくと悪影響しかないだろうから、放っておくっては出来ないよ。」
「では、どうするんです?」
「不本意だけれど、お祓いするしか…」
(ちょっとまて、祓えるなら最初から祓ってくれればよかったのでは!?)
「一旦席を外しましょう」
といって、事務所に移動。
「○○さん、祓えるならさっさと祓ってくれってさっき思ったでしょ?」
「はい…。」(見透かされてる…)



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「私には祓うほどの力はないけど、御札の力を借りれば祓うこともできるの。でも、強制的に排除すると、そこには霊的にぽっかりと穴が開いたような状態になって、あらたに別の霊が住み着きやすいの。だから無理にお祓いはしないで落ち着かせるのが私のスタイルなの。」
(共存てこういうことか…)
「でも、今回はそのお客さんのせいで収まりつかなそうだから、お祓いすることにします。その代わりに祓ったあと一年はあの部屋を霊的に清める必要があるので、月に一度は線香とお供えものを欠かさないようにね。」
「わかりました。お願いします。」
「実は、連絡をもらった時点でお祓い用の御札は用意してきてるの。これから始めるけどいい?」
「はい。(心の準備が必要なほど壮絶なものなのかな…)」
私の承諾を得ると、よいしょっと重い腰をあげるような動作をし、気が進まないような重い足取りで部屋に向かい始めました。



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部屋に着くと、手荷物から簡単なお供えキット(?)みたいなものを取りだし、セッティングしてから、
「申し訳ないのだけれど、貴方はここの人たちにとって忌み嫌われる存在となってしまいましたので、これから除霊させていただきます。
願わくば、改心し成仏していただけることを切に願います。」※ちょっと聞き取れないような難しい言い方だったけどこんな内容
その後、天井裏の御札を剥がし、代わりに持ってきた御札を貼ったと思ったら
「これで終わりました。」
「え?これだけ?」
「はい。なんかすごい御祈祷みたいなの想像してました?w」
「ええ、なんか憑依してぐへへへお前をころしてやるーとかそんなのを…」
「テレビの見すぎですねw実際にはこれだけで効果は発揮します。ああいうのは演出ですよw」
「そんなもんですか…w」
「そんなもんですw で、忘れてもらっては困るのですが…」
「ああ、線香とお供えものですね」
「はい、今日から一年は続けてください。半年もやれば充分なのですが、悪い霊が寄ってこないように念入りにお願いします。」
「あ!あの…。他にも2体ほどいるのですが…。」
「大丈夫ですよ。さっきの女性に寄ってきていた霊なので、いなくなったらまたさ迷ってどこかへいってしまうはずです。」
「……!ありがとうございます。これ、少ないですけどお礼です。」
「いえいえ、私はこれでお金を貰ってやっているわけではないので結構ですよw従業員さんたちにご馳走してあげてくださいw」
「いや、そういうわけには。では、ご飯でも奢らせてください。」



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「あ、気が緩んだらお腹が空いてきたと思ってたんですよねwラーメンでも奢ってもらおうかなw」
「え?ラーメンて今朝の6時ですよwファミレスくらいしか開いてないかとw」
「ファミレスにもラーメンあるでしょ♪」
で、ファミレスで二人で朝っぱらからラーメンと餃子を食べてお開きw
それからしばらくの間、極稀に階段のヤツがいるくらいで、ハイヒールはいなくなり、その階段のヤツも半年も過ぎた頃にはいつのまにかいなくなってました。
居なくなると居なくなるで、なんだか寂しい気がしてくるのが不思議。
それでも言い付け通りに一年は供養(?)を続け、その後ほどなくして私は退職しました。
霊が原因ではないのだけれど、一年は経って今回の騒動に決着がついたと思ったときに、なんとなく気持ちが冷めてしまったからです。
ちなみに、店長のときの私の給料は手取り33万しかありませんでしたw
ボーナスも業績不振からもう何年も出ていなく、世間の風当たりも強いわりに魅力のある仕事とは思えなくなったので。



49
最後に

パチ店はなにかとこのような霊話を聞きますが、たぶん事実のものも多いと思います。
事件後も、下心ありで何度か霊感者の方とお話したのですが、パチはギャンブル場のなかでも特に負のエネルギーが満ちているとのこと。
店長だった私だからこそ解るのですが、1日の売り上げが1000万あったとして、そのうち200万~300万は粗利として抜いてるんですから、そりゃそうです。
この中で月間プラスにできる人なんて極々僅かの一握りの豪運の持ち主か生業としてるプロの人だけです。
そんな場所には霊が集まりやすく、しかも質の悪いのが特に集まりやすいのだとか。
パチ好きな方はのめり込み過ぎないようにお気をつけください。。。



50

おもしろかった


52
おもろかった


48
後日談は?


53
後日談というかなんというか、私がいた頃は横ばいを維持していたのですが、辞めたあとは業績悪化が止まらず、1パチ専門店になって延命措置をしたものの、今では1パチですら客が飛んでしまっており虫の息だそうです。
1パチ専門店なんて儲けないですからねw
人件費や経費は4円と変わらないのに、儲けは1/4なんだしw
大手の併設店は1パチにも新台バンバン入れてくるから、専門店は生き残れないw



54
よくトイレで客が首吊るからね


55
霊感ある美人さんとは付き合えなかった?


59
>>55
ええ、残念ながらご婦人でした;



56
お疲れ様
面白かった


60
お憑かれ様でした


引用元: http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/news4viptasu/1476057705