寺生まれのTさん

「コンビニで憑りついた悪霊とTさん」

「寺生まれ」…それは人智を超えた不可思議な霊能力を持った人間に与えられる称号――

深夜3時。お腹が空いた俺は近所のコンビニに出かけ店内をウロついていた。が、突然、血相変えて店員がこっちに飛んできた。 そして、店内の防犯カメラを観ていたという店員は恐ろしい事を口にするのだが――

目覚めたら夜三時くらいで、空腹だったので近くのコンビニへ。
店内うろうろしてたら、店員が裏から飛び出してきて、俺の手を掴んだ。
すっごい必死で、「警察呼びますから!」とか言いながらレジ裏へ。
もう一人の店員もなんかスプレー持ってた。
事情がわからないまま裏へ連れてかれた。

「救急車呼びますか」と言われて、キョトンとしていると首を示された。
首に特徴があるので普段隠してるのだが、夜中だしと気にして無かっただけにショックを受けた。

でも、反射するPC画面を見て驚いた。首に絞められたような痕がある。
店員の話だと、入口の防犯カメラからずっと女が背後から俺の首を絞めていたらしい。
それで助けにきてくれたそうだ。ありがとう。
(カメラにも映ってた。店長の許可出たらupだそうな)

結局そんな女はいなかったが怖い……が家もストーブつけっぱなしだし警察も呼べない状態だしで帰る事にした。


部屋に戻ったら、何だかほっとしてそのまま横になった。

気づいたら朝日が少し射していたので、朝だなぁ……と夜中の出来事が夢みたいに感じてた。
でも、窓から射す光が、床に形を作ってるのに気づいた。
肩くらいまでの髪、小柄な身体がしゃがんでるような影がゆっくり動いてて、気持ち悪い。
幽霊って朝も出るのかよ!とか内心叫びつつ、玄関へと向かうのに横目で影みながら匍匐前進。
不意に肩を叩かれた気がしたので、何故かそのまま寝たふりをした。

しばらくしそうしてたけど何もおきない。
事なきを得たように思い、少し安心した刹那だった。

耳元で「コロしてやる・・・」と知らない女の声で宣言された。

「うわぁぁあぁぁ!!」叫んだ俺が目を開いた瞬間。


「破ぁ!!」


がしゃーーん!!

盛大に窓が割れるヒステリックな音と同時に重いものが落ちるドスッという振動が響いて、黒い影が飛び込んできた。

「お客様。Tポイントカードをお忘れでしたので届けにまいりました!」

そこにはさっきのコンビニの店員が。。
そして勢いよく俺に向かって投げつけられる俺のTポイントカード。
それを、何を思ったのか俺の頭めがけて店員が投げつける。

ザクッ!

俺の頭を掠め背後の壁に刺さった。
と、同時に

「ぐぎゃぁぁぁあぁぁ!!」

押しつぶしたような女の声が背後から響き渡る。
俺が振り返ると鬼の形相の女が煙を上げながら消滅していくのが見えた。

コンビニ店員が続ける。

「Tポイントカード、俺も使ってますよ。もうすぐ30000ポイントたまりそうです。」

白い歯をきらりと光らせ微笑みながら、店員は玄関の鍵を開けて立ち去っていった。

Tポイントカードをもっていてよかった。
扉の隙間からもれる朝の光をぼんやり見つめながら、俺は心からそう思った。