時空のゆがみ

『時間を2回巻き戻した』『みんなの記憶から消えた同級生』

タイムリープ―自分は過去に二度時間を巻き戻したことがある。信じられないような時空の歪み。それは、二度とも自分の命が尽きかける瞬間に起こった―― 

『時間を2回巻き戻した』

自分には巻き戻しの感覚がたびたび起こる。

一度目は保育園から脱走したとたんに、トラックにはねられた筈なのに、その少し前に戻っていた事。

二度目は今年初めの事だ。

会社で作業中、有機溶剤を使っていて、横にはコンクリート切断の火花。
いつものことなんで、さっさと終わらせようと手を動かしていたら突然引火。
手元から自分の顔へ炎が噴き上がって顔をヤケド。
眉毛がじゃりじゃりになって、顔全体が火ぶくれ。
同僚に連れられて病院へ。
医者で手当てしてもらいながらだんだん息ができなくなって、気が遠くなって、
「酸素マスク!」とか医者が叫んでいて、あ~ドジったな、ここまでか、なんてぼうっと考えてて…。

と思ったら、何事も起きていなくて、その作業を始める前の工程に戻っていた。

やがて一日分やった作業が消えている。
火傷した夢?と思ったが、記憶通りに作業工程が進み、別工程のやつが、
近くでコンクリートカッタ―を使いだした。
やべっと思って、作業中断。
監督にすいません、腹が急に痛くなって、とばっくれた。

今自分はここで何事もなくカキコんでいるが。
もしかしたら一度目の自分と、二度目の自分はもう、別次元の自分はもう、
あのまま死んだんじゃないか?と思っている。

三度目の正直が怖いので、注意深く生きてくつもりだ。


『みんなの記憶から消えた同級生』

何から説明しようかな。

先日小学校の同窓会があって、出席率のいい我がクラスは物故者以外全員出席。
ヨボヨボながら、恩師も健在。
○○小学校6年2組のメンバー勢ぞろい。

…で、持ち寄った小学校アルバムの全員集合写真を指さしながら、
「これは誰それ、それは誰それ」と、微笑ましく名前を読み上げる恩師。
ああ、よく覚えてくれてるなあ、とン十年ぶりの恩師に感動しながら見てたら指が止まった。

悲しそうに「すまん、この子はどうしても思い出せん」
で、みんながそれを誰だか当てようとしたけれど、皆思い出せない。

そのうちに、名簿と人数と、顔と照らし合わせていったら、一人多かった。
ところが集合写真ばかりじゃなくて、遊んでたり笑ってたりする写真にもその男のコあちこちに写っていた。
俺ら全員、恩師も含めて記憶のないその子の存在になぜか、胸に引っかかる物を覚えたまま帰宅。

思い出したら教えてくれよ、と互いの電話番号も交換して別れたのだが、誰からも情報は届かない。
一人だけ、どこか時空の歪みに入ってしまって、俺らの記憶からも消えてしまったのだろうか?

などと、荒唐無稽な事を考えている自分。