海の怖い話

海の怖い話『もう海には行けない…沖から向かってくる色彩のない人々に沈められる』

子供の頃、親戚のA子ちゃんと家族みんなで海に遊びにでかけた。ちょっとした穴場だったのか、水も透明で美しく人も全然来ない素敵な海だったのだが、沖の方を見ると人間とは思えない異様で不気味なモノ達がこちらに向かってきて――



私は泳ぎがめっちゃ得意なんだけど、
海では波打ち際の腰ぐらいの深さのところで
しかも人がわんさといるとこでチャプチャプするくらいしか出来ないので
家族からも 子供達からも笑いものになっています。

けど海では泳げません・・・子供の頃の凄く怖い目にあいました。
長文で信じられない話ですので読みたい人だけ読んで下さい。

その頃、私は10歳で親戚の2歳年上のA子ちゃんと、私の家族、
A子ちゃん家族、その他の親戚のオッチャン達、
総勢11人くらいでD県の某海岸に泳ぎに来ていました。

そこはいわゆる穴場で、
交通の便が悪いのと回りに人家が無いために砂浜なのに人が全く来ず、
お陰で水の透明度は抜群!
水中メガネでちょっと下を覗けばウミウシがごろごろ居るのと
海草群が足元で一面にユラユラしているのさえ我慢したら、
遠浅の泳ぐには最高の場所で
親戚の叔父さんはそこに一軒家を海の家と買って
初めて使う年にA子ちゃんと私達親子を海開きとして招待してくれたのです。


で、A子ちゃんも私も泳ぎは得意だったので、
朝から一日中泳いでいて
初めは気味悪かったウミウシや邪魔になった海草も慣れると平気で
2日目になると遠浅な事もあってだんだん遠くまで泳いで行くようになって、
もう浜でのんびりビールを飲んでいる家族達の姿もかなり遠くになってしまいましたが、
まだ首位の深さだし海の中は透明で魚も泳いでいたり、
A子ちゃんと夢中で泳いだり潜ったりしていました。

どのくらいそうやっていたのか、急にA子ちゃんが『あれ、何だろう?』
って沖の方を指差すので一緒に見ると、
沖の遠くの方に何やらかすかに黒いモヤみたいなものが見えていて、
それが少しずつ近づいてくるのです。

モヤは近づくにつれて段々濃くなってきて、
形が色々と変わって初めは濃いグレーの雲の固まりにみたいに見えていましたが、
すぐ目の前に来た時に一つ一つの物に別れて
それが無数の色彩色のない人々である事が判りました。

見えてるのは首から上だけで下は海の中なのに少しも海面が揺れていず
水しぶきも上げずに髪の毛も顔も目も口も濃い灰色の男女が何十人もこちらに
向かって無表情にやってくるのです

その時の恐怖は今でも忘れられません。

私とA子ちゃんはただ呆然と見ていましたが、いきなりA子ちゃんが『ぎゃああぁぁ~!!!』
という悲鳴を上げて逃げ出したので私も無我夢中で浜に向かって逃げ出しました。

足は届く場所だったのになかなか前に進まず、私達はすぐにその団体に取り囲まれました。
そうしたら彼らは私達の手といわず足といわず捕まえて沈めようとするのです。
私も沈められて海の中に引っ張られながら夢中で地面に生えていた海草にしがみ付きました。

その時に水の中で私の両足を掴んでる連中を必死で蹴って離そうとしましたが
無表情でただ私をじぃーっと見つめながら引っ張っている人達?の髪の毛が
水の中でワサワサと揺れている見ながら苦しくなって気が遠くなりながら
『死んじゃうのだな』と覚悟した瞬間、
私は間一髪悲鳴を聞いて駆けつけてきた両親や親戚の人たちに助けられました。

浜に連れて来られてゲホゲホと水を吐いている私は半狂乱の母親に抱きしめながら
周りの人の『A子はどこに流された?!』と大騒ぎをぼんやりしながら見ていました。

あまりの恐怖で却って何が起きたのか、何を見たのか周りの大人に言えませんでした。
結局、A子ちゃんはすぐには見つからず警察の捜索でかなり沖に流されたところで沈んでいるのが発見されましたがすでに亡くなっていました。

何でも、私達が泳いでいたところは急に潮の流れが複雑に変わる場所なので
地元の人達も泳がない場所だったのに部外者の私達は知らずに泳いで、
A子ちゃんと私は潮に流されてこんな事になったのだろう・・
という話でしたが、浜にいた家族や親戚は私達が溺れる瞬間を見ていたはずなのに、
私があれほどはっきり見えていた大勢の人を周りの人たちは 
誰一人も他の人影を見ていないのが不思議でした。

私は1度もこの話を周りの人に言っていません。
私の状態からA子ちゃんの葬儀にも行かないほうが良いと判断されて、
その時の話は私には禁句になった事もあります。

足が何かに引っ張られたと、伝えましたが
回りは海草か何かに足をとられて潮に流されたのだと解釈したみたいで、
自分が見たものが本当かどうか判らないし(恐怖で幻覚を見た?)
思い出すのも恐ろしかったので・・・

私はそれから2度と海で泳げなくなってしまいましたが、
あんな事があったので当然だと両親も親族も思ったみたいです。

後から気がついたのですが、あれが起きたのはお盆の時でした。