海の怖い話

海の怖い話『開けたらヤバイ!海辺のお札だらけの樽小屋で過ごした恐怖の一夜』

予定を立てずに思い立ったら即旅行!といったアバウトな両親と海に遊びに行った。飛び込みで泊まれる所を探したら、薄気味の悪い樽のような形をした小屋に泊まる事になってしまったのだが―― 

私が幼稚園くらいだったからもう30年以上も前の出来事

今から考えたら私の両親ってあの当時の感覚で言ったらえらくアバウトというか、てきとーな人たちだったみたいで家族旅行でもいきなり『明日から3日間行こう!』みたいな感じで、今日の今日で車に荷物積んで出発!てのが多かった。

で、真夏のある日もそんな感じで出発して、あまり人の居ない海場に日も暮れに着いて、飛び込みで泊まるとこを探すが(これも当時も両親のデフォw)、その時はなかなか泊まりをOKしてくれる場所がなかったらしく、真夜中近くに海辺の砂浜に建っている大きな樽の形の小屋?に出入り口をつけたものが
数件並んでるうちの一つに泊まる事になった。
(その日に泊まる分を集金人に払うシステムで、その時は真夜中だったので連絡のみで勝手に入っておいてくれ・・とか)

並んでる他の樽には人気がないし、樽の中は狭いわ小汚いわで母親は不満そうだったけど、私は樽の中に泊まる!ってのが嬉しくて気にしなかった。

夜、電気類は豆ランプの明かりだけが通っていて薄暗く、扇風機が置いてあったけど暑くて堪らず、出入り口の戸を開けて網戸にして両親と川の字で眠りました。

どれくらい寝たのか、ふっと顔に何かが触ったような気がして目を覚ますと目の端に何かが見える。
ひょい、っとそれを見ると誰か小屋の中で首吊を吊っている!
ギョッっとして目をつぶってもう一度見るとそれは氏体ではなくてハンガーに吊るされた浴衣がブラブラしているだけだった


『なんだー・・』と、またうとうとしたけど今度はやたら暑くてまた目が覚めてしまった。

そしたら両親は起きて固まっていて様子がおかしく、私が目を覚ました事に気がついた母は四つんばいになって私の所に来たが、母の目は恐怖のあまりか釣りあがっていて『しーー!!』と言いながら抱きしめて父と一緒に外の気配を伺っていた。

訳が判らないままとんでもない事が起こっている、と感じて母にしがみ付いていると確かに外で砂浜を歩くシャリ・・シャリ・・という足音が聞こえていて、それがうちの樽の周りを回っているのが判った。

樽には出入り口と窓があって、木製の戸が付いていたが寝るときは両方開けて網戸にしていたはずが、その時は閉まっていて(だから暑くて目が覚めた)その足音は出入り口の前まで来ると『トントン・・』と叩いた。
両親が黙っているとそいつはまたシャリ・シャリ・・と移動して窓の所にいって『トントン・・』それを何回も繰り返していてそれが時間が経つにつれて足音の数が増えていっているような気がした。

もう子供でも開けたらヤバイ!って感じるくらい、生きた人間の気配みたいなものが感じられなくて、樽の中で両親に抱きしめられながら息を殺してただ足音とノックの音を聞いていた。

やがて少しずつ足音が減ってノックも無くなったけど、それでも夜が完全に明けるまで両親も私も声もたてられなかった。
夜が明けたとたん、両親は大車輪で荷物をまとめてその樽から出たが何回も回ってたはずの足跡らしい跡はまったくなくて、その上明るくなってから改めて見たその樽小屋は驚くほど古ぼけていて変な札があちこちに貼ってあった。

後から聞いたらあの時、開いていたはずの雨戸が閉まっていたのはやはり母親が何かの気配で目を覚ましたら、金縛りになっていて目の前に浴衣を着た男の人が見えて、その男の人が勝手に部屋の雨戸を閉めだしたそうだ。

そうして全部の戸を閉めるとそのまま消えてしまい、その時母の金縛りも解けて、慌てて父を起こした(父もその時には起きていた)時に、足音が近づいて来たとか

樽の中の戸を閉めてくれたのは何だったのか、閉めていなかったら何が起こったのか、その足音やノックの主を見ることは無かったがもし見ていたらどうだったのか、判らないけど多分それからだと思う
両親が二度と行き当たりバッタリの旅行をしなくなったのは

因みに私が見ていたハンガーに架かった浴衣(二度目に目が覚めた時は消えていた)は、母には男の人が見えたみたいで同じ物を見ていたはずなのに見る人によって見え方が違うのかな?と不思議。

あの樽の小屋、いまでもあるのか気になります。