憑いてきた悪霊

ある恐ろしい体験がきっかけで幽霊を信じるようになったと語る報告者。当時付き合っていた彼女の部屋に遊びに行くと禍々しい気配を感じ、ベランダに“ソレがいるのに気が付き盛り塩をして急いで外に出たそうなのですが――(おうまがタイムズ)
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今まで誰にも話せなかったんだがぶちまけさせてくれ。

一昨年前のいまぐらいの時期だったと思う。
ある出来事があり俺は霊的現象を信じるようになり、ある上司の話で零感だと思ってたが実は霊感体質だという事を教えられた。

その日は当時付き合ってた彼女の家に遊びにいく事になっていて(彼女は大学生で女友達とルームシェアしていた)夜の8時くらいに彼女の部屋を訪れた。
インターフォンを鳴らしドアを開けてもらい、玄関に入るとひどく澱んだ重い空気と圧迫感に襲われた。
それっぽく表現すると禍々しいという感じ。

姿を見る事が出来ない零感に近い霊感な俺でも、ベランダにそれがいるのに気づいた…おそらく男、おじさんの霊だと思う。姿は見えないがなぜかそうだと確信できた。

彼女達にさりげなく甘いもの食べたいからコンビニ行こうと言い、きょとんとする二人に出かける用意を急かした。
早くこの部屋から出たい。
その気持ちを二人に感づかせないようにしながら、さりげなく部屋と玄関に盛塩と酒を置いといた。



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用意ができた二人を連れ逃げるように部屋を出て、しばらく近くのコンビニで時間を潰す。
あらかた買い物もすみ、時間稼ぎも限界になり部屋に戻る事に。

部屋に戻ると、さっきまでの禍々しい空気は消えていた。
ふと盛塩を見るとすこし崩れている。
そるが効いたのかどうか分からないがとにかくおじさんの霊はいなくなっていた。


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しばらくテレビを見ながらどうでもいい話などで盛り上がる。
彼女の友達がトイレの為に立ち上がり玄関の方に向かう

「なにこれ!!!?」

大声をあげる彼女の友達の声に二人でかけつける。どうやら、いつのまにか盛塩があるのに驚いたらしい。
訳を話二人を怖がらせたくなかったので、怖い話をしようと思って雰囲気を出す為に盛塩をしといたと笑いながら俺は嘘をついた。

「びっくりしたじゃん!気持ち悪い!」

と半泣きで盛塩を片付けようとする彼女の友達。その盛塩はさっきより崩れているような気がした。

深夜、変な音で目が覚める。
途切れ途切れの呻き声のような…
隣を見ると顔を歪め苦しそうに呻き声をあげる彼女の友達が。
何かの気配に誘導されるように俺は視線を少し上に向けた。
はっきりは見えないが友達の体の上に歪んでいる空気の柱のようなものが見える。おそらく、さっきのおじさんの霊だと直感した。

金縛りにはならないが耳鳴りがひどい。
意を決した俺はバッと飛び起き部屋の灯りをつけた。



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そのバタバタ音と急に灯りがついたのにびっくりして彼女も起きた。
???となっている彼女が友達を見る。
友達は顔が真っ青で汗が噴き出していて、髪も汗?でびしょびしょだった。
慌てて彼女は友達を揺らしながら起こした。
目を覚ました友達は何ともなかった様子で

「どうしたの!?」

と、慌ててる俺達を見て逆に驚いていた。次に汗でびしょ濡れの自分に驚きシャワーを浴びにむかった。

その後、結局朝まで起きていてそのまま3人で遊びに行った。

後日ことの成り行きを霊感のある上司に相談した。
上司が言うには、その部屋が霊の通り道?になっているらしい。
たまたま今まで悪意のある霊がいなかっただけ。
マンションの裏に寺があるはずだからそこで御参りするのと、盛塩を嫌がるなら布の袋に焼塩を入れてベランダのところにさりげなく置いておけと言われた。
あとは、なるべく早く引っ越す事。

言われた事を実行し、3ヶ月後に引っ越しをさせた。
彼女達からは不思議がられたが何も言っていない。新しい部屋には何もいる気配はなかった。


そして、俺が一番聞いて欲しいこと。


いま、おじさんがベランダにきてる。





引用: ほんのりと怖い話スレ その76