動物に憑依されるキジバトのハトマン

どこからともなく現れ家の庭に居着いたキジバト。観察していると他の鳥に比べてちょっとおバカでほっとけなくて、ついついそのキジバトに情が移ってしまった。餌もあげて懐いたそのキジバトに「ハトマン」と名前を付けて可愛がっていた、そんなある日――(おうまがタイムズ)



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家の庭に大きなビワの木が植わってるんだけど、
そこによく鳥とか来るのね。
野良猫とかも沢山いて、
よく鳥狙ってるの見たことある。

んで、小学校4年生くらいの時、
どこからとも無くキジバトが飛んできた。
俺そこに来る鳥とか見るの好きだったから、
キジバトがいるとずっと見てたんだけど、
見てて気付いたのは、
そのキジバトがちょっとお馬鹿さんだったのね。

車が来ても道路でぼ~っとしてたり、
なぜか飛ばないでテクテク歩いたり、
猫がいても逆に近づくし・・。
人間と同じで、鳥にも障害みたいのあんのかな~なんて思った。

っていうかよくこんなに大きくなるまで
生き延びてるなこのハト・・って思った。

でほっとけなくなって、ずっと見てた。

次の日も次の日もずっとうちの庭周辺をうろちょろしてて、
行動がいちいちはらはらさせるもんだから、
心配になって餌あげてみた。
そうしたら喜んで食べるし、
しかも触っても逃げないし、
俺そのキジバトに情が移っちゃった。

で、名前付けたんだけど、ハトマン。
動物は全部オスだと思ってた小学校時代なので、
(ラッキーマンが好きだったのもある)ハトマンと呼び出した。

餌あげたらホントなついちゃって、
家の庭にずっといるようになった。
でも交通量も結構多いし、
野良猫も沢山いるしですっごく心配だった。


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学校が終わったら即効かえってきてハトの様子見た。

普通の餌じゃなくて、
図鑑で見たバードケーキ(ラードとか入れた高カロリーの餌)
を作って食べさせたり、
とにかく大好きだったのね。

ほとんど毎日ハトマンの様子を見るのに明け暮れてたね。
ペットとか飼ったこと無かったし結構夢中だった。

でも見れば見るほど頭の悪い鳥で、
何回も車に轢かれそうになった。

んである日学校から帰ってくると、
道端にものすごい量の羽が散らかってて、
キジバトの羽だったから嫌な予感して周り探してみた。

その日は見つけられなかったんだけど、
次の日ハトマンがいて、
よく見たら右足が無かった。

羽もぼろぼろで、
きっと猫に襲われたところ逃げたんだろうと思った。
足がなくなってたのは何でか分からないけど、
近所の池で釣りしてる人の釣り糸に
引っかかったんじゃないかと思う。

片足失って余計可哀想だったから、
その次の日からは前よりもべったり見るようになった。



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それからしばらくたって、
びっくりしたんだけど、
ハトマン雌だったらしく、つがいになってた。

オスはまともそうな奴で、
毛並みも良くて立派なキジバトだった。
鳴き声もなんとなくたくましく、
カッコイイやつだった。

でも二人とも馬鹿だったのは、
野良猫のウロウロしてるビワの木に巣かけちゃったのね。
でも俺すごい嬉しくなって、
その巣で雛が生まれるの今か今かと待ってたわけ。

双眼鏡も買ってきて(結構高くて紫外線カットのやつ)
毎日巣の観察してた。

そしてしばらくしたら、巣から顔出したのよ。
ヒナが2匹ね。
もっと沢山生まれるんだと思ってたけど2匹だった。


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ハトマンのお腹の横からキーキー鳴いてて。
生まれたてはあんまし可愛くないな~
なんて思いながらも結構嬉しくて見てた。

正直ここまで猫に襲われなかったのは奇跡だと思う。
俺もこのまま襲われること無く
育てきるんだろうと漠然と思ってた。

でもそううまくいくはずもなくて、
やっぱり近所の真っ白のでかい猫に襲われた。
カワイイ首輪して獰猛な奴だ。
ヒナを一匹もってっちゃった。

ハトマンもその夫も一生懸命威嚇したんだけど、
やっぱり駄目だった。
ハトマンなんか足を引きずりながら枝に登って猫威嚇してたんだ。
片足無いし馬鹿なのに。
しかもハトマンずっと巣に座ってて、
ずっと何も食べてないし、
多分くるしかったんだと思う。

猫追い払おうとしてよろけて
根っこまでどさっと落ちちゃった。
そのすきに猫がヒナを持ってちゃった。

俺も急いで外に出たんだけど、やっぱ駄目だった。
根っこのところに落ちてるハトマンの様子を見にいったんだけど、
興奮状態で俺のこと追い払おうとしたよ。

俺は泣きながら布団の中に潜った。


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んで次の日からさらに最悪だったのが、
オスのほうがいなくなっちゃった。

どこかに逃げちゃったのか、
それともどこかで氏んじゃったのか分からないけど。
次の日からさっぱり餌を持ってこなくなってしまった。

ハトマンもそれが分かったらしく、
残った一匹の雛のために餌を取りに出かけた。

残された雛のことが俺はいつも不安で、
猫が来ないようにペットボトル置いたりいたら大声で追い払ったり。
家の反対側に餌置いて気をそらしてみたり色々やった。

んで、しばらくたったころ事件が起こった。
(ここからが本題です)

近所の駐車場みたいなところで、
キジバトが車に轢かれてた。

もう氏んでたと思う。
よく見ると片足が無かった。

なぜかこれはハトマンだという核心があった。
何ヶ月も毎日見ていたからだと思う。
で、残された雛はどうすればいいんだと本気で悩んだ。
今もあの雛はハトマンが餌を加えて帰ってくるのを待ってる。
枕を涙と鼻水でびしょびしょにしながら夜じゅう鳴いてた。

まだ庭の木には帰りを待ってる雛がいる・・。
暗くて怖くて震えてるだろうな・・・。
考えれば考えるほど氏にそうなほど心が苦しかった。

最初と比べると雛も大分大きくなって、
もうほとんど大人のキジバトと変わりない大きさだった


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んで、次の日本当にびっくりしたんだけど、
ハトマンが巣にいたのね。

ものすごく不思議な感覚だった。
勘違いだったのか~~っていう安心よりも、ちょっと怖かった。

氏んだはずなのに・・・・っていう感覚。
なぜか自分が勘違いしていたとは全然思えず。

まるで幽霊を見てるみたいな感覚だった。

その後の子育ては順調に進み、
雛も羽が生え変わって立派なハトになった。
俺はやっぱりその成長が嬉しく、
猫も追い払えてよかったとすごい思った。

んで、巣立ちって奴かな? 
雛が巣から出て枝から枝に飛び移りながら飛ぶ練習とか始めた。

そうしたらいつの間にか、
ハトマンはいなくなってて、
巣の雛は大空に飛び立っていった。

次の日、母さんに
「雛巣立ってったよ~~」って言ったのね。
そしたら母親が
「意味が分からない・・」みたいな顔して、
「え??」って聞いてきた。

「だからハトマンが無事に雛を育てきったんだよ。」って言い直すと。
「何言ってるの?親のハトはもう氏んじゃったんでしょ?」と母が言ってきた。

俺もイライラして、
「忘れちゃったの?ハトマンは生きてて、あの雛を育てたんじゃん!」
って言ったのね。
そしたら母親がちょっと不気味そうな顔で俺を見下ろしてこういった。


「あの雛を育てたのは、あんたじゃない・・」


そう言うと母親は部屋の隅を指さした。
そこには鳥を飼育するための大量の餌と、本。
本なんか15冊くらい積み重なっていて、全部ぼろぼろ。
餌はあまりまくって業務用の鳥の餌が腐るほどあった。


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全然思い出せないんだけど、
ハトマンが氏んでいた日から、
人間が変わっちゃったように雛を育てたらしい。俺。

まるで何かに取り付かれてるみたいに。
学校も全く行かず、ハトの雛にべったりだったらしい。
母親は反対していたらしいが、
俺があんまり涙を流して懇願するので、
雛を育てるのを了承したとのこと。
餌や本にかかった金も半端じゃないらしい。
気付いたら俺めっちゃ痩せてて、
5キロくらい体重堕ちて、栄養失調状態だった。

今思えば、あの時ハトマンは
やっぱり氏んでいたんだと思う。
ハトマンの霊が俺に乗り移って、
子育てをしたんじゃないかと思う。

最近その時の夢をよく見るようになった。
もう10年以上経つのにいまさらだけど。
その時必死で子育てをしていた気持ちが、
ものすごい爆発的に体験する。

夢の中で俺は、輝く雛がものすごく愛おしくて、
他の何も考えられない。
自分はどうなっても、
この子を育てる・・何をしてでも・・
足の感覚が片方無い。
本当に感情がボンボン核爆発してる感じ、
朝起きると毎日号泣してる。
何かを絶対的に守らなければならないという感覚・・
これが母性本能ってやつだと思う。

俺は人間の男だけど、ハトのメスの気持ちを夢の中で体験してる。
夢は単なる夢だけど、その感情は本物だと思う。
俺が生きているうちに
絶対体験できないことをこんなに体験できて、
今は幸せだと思ってる。

でも最近その夢あんまし見すぎて、
朝起きるとしばらく放心状態・・
ちょっとさすがに困ってきたので、ここに書きました。






引用: 【恐怖】紅葉過ぎても恐い話【心霊】14