異世界の女と出会った話

8月のお盆より前の時期、小学生だった俺は一人で祖父母の暮らす田舎へ向かうことにした。その日もいつものように電車を降り、バスに乗り換える前に電話をして、祖父に迎えにきてもらうはずだったのだが、バスを降りるとそこは――



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田舎ってのはそれだけで不思議な力があるよなぁ
俺も異世界に入りかけたわ


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少しだけフェイク入れときます
話は小学校高学年の頃
うちは放任主義なのか、割と小さい頃から田舎に1人で行くのが普通だった
その日は確か8月になるかならないか、少なくとも盆よりは前の時期だった

例年のように荷物を背負って1人で田舎に向かった


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田舎は本当にどが付く田舎な所で、1時間に2本あるか無いかの電車に乗って、降りてからはさらにバス
の降り場も周りに何も無いところで、そこからさらに20分ほど歩くとようやく祖父母宅が見えてくるって場所
その日もいつも通り、電車を降りた所で電話をしてバス停まで迎えに来てもらうことにした
が、何か電話の調子が悪い
時々声が聞こえなくなったり、音が遠かったりした
そのせいか相手が祖父じゃない感じもしたけど大して気にせずバスに乗った


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それでもバスに乗って、いつものバス停に降りた
バス停とベンチだけしか無くて、周りはほとんど田んぼって言う、明らかに設置位置を間違えたような場所だった
それなりの都心部に住んでたから、この田舎特有の何も無さを見て安心していたものだった
が、この日はいつもから欠けているものがあった
迎えがいない


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道自体は分かっていたけど、毎年必ず祖父母のどちらかが迎えに来てくれていた
それがこの日はいなかった
しばらく待ったけど来る気配は無し
携帯なんて無かったから連絡できず
仕方なく歩いて家に向かうことにした


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しばらく歩くと変なことに気付いた

いつもの駅で降りた
いつものバス停で降りた
いつもの道を歩いている

それにも関わらず、全く知らない景色の中にいた
開発が進んでとかじゃなく、田舎の風景なんだけど、表現しにくいけどとにかく知らない景色だった


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それでも、1人で田舎に帰れる俺かっこいい、みたいな厨二発想だった俺にバス停に戻る選択肢は無かった
若干の不安を覚えつつも、祖父母宅への道(と思われる方向)を歩き続けた
ところがやっぱりいつまで経っても家に着かない
進んでない気すらして振り返ってみたけど、バス停は見えなかった
ここに来てもう一つおかしなことに気付いた

音が無かった


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 田舎とは言え、いつもならすれ違う人はいたし、鳥が鳴きながら飛んだりもしていた
それがこの日は何の音も聞こえなかった
正確には、音を出すもの(鳥や虫)はいたのに、その音が何も聞こえなかった
軽いパニックになって声を出したら、これは問題なく聞こえた
たまたま鳥が鳴かずに飛んでいる
虫とかが声を殺してる
そう思い込んで足を早めた


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それでも1時間くらい歩いたように感じてもなお、家は見つからなかった
祖父母宅だけでなく、周囲の家1軒すら見つからなかった
もう半泣きになりながらバス停に戻ろうとした瞬間、後方(振り返ったとこだから、今まで向いてた方)から声を掛けられた

「坊や、迷子になったの?」

和服の若いお姉さんだった
今なら違和感があるかもしれないけど、黒髪ロングの、いわゆる大和撫子的な感じだった


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ようやく人に会えた安心感で、これまでの経緯を全て話した
すると「あなたのおじいちゃんの家は知ってるから連れてってあげる」と言われた
もうこの時の安心感と言ったら無かった

けれどすぐにこれが間違いだと気付いた
彼女と歩き出すと今度は多くの人と出会った
彼女は彼らと何度か立ち止まって話をしていた
が、ついに俺がその相手の声を聞く事は無かった
確実に会話が成立しているのに、その声が聞こえなかった
それどころか相手に自分は認識されてないようにも感じた


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あれ?なんかおかしい
そんな疑問をお姉さんにぶつけた
すると

「あなたとは違う場所にいるから」

と言われた
口元は笑みを浮かべていたけど、目は笑っていなかった
美人なだけに余計に恐怖が際立った

繋いでいた手を振り払って、わき目も振らずに元来た方向へ走った
道すがら、今までとは打って変わって多くの人を見かけた
お互いに話して笑う人たちもいたけど、皆一様に言えるのは、声が聞こえず、そして自分を認識していないことだった
一つだけ聞こえるのは「こっちに来なさい」という女の声だけだった


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もうパニック甚だしく、ひたすら走った
バス停はいつまでも見えず、徐々に女との距離は縮まり、ついに肩に手を掛けられた
そこで気を失った

気付いたのは祖父母宅だった
いつまでも電話が来なくて不審に思った祖父がバス停に向かう途中、道端に倒れている自分を見つけたらしかった
一気に安心して、これまでの経緯を話した


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祖父母達はその女のことを知っていた
特に決まった名前は無く、ただ「あの人」と呼ばれる彼女は、少なくともこの世界の人間ではないらしい
いわゆる神隠しがあれば「あの人」に連れていかれたと言われる
「あの人」に連れられ未知なる世界を見た人もいる(もちろん帰ってきた)
未知なる場所があの世なのか、いわゆるパラレルワールド的な物なのかは分からないけど、きっとあのまま歩いてたら連れていかれたんだろうなとは思う
物凄く敵意があるわけじゃないけど、一度目を付けられると何度も連れていこうとするらしいので、その一件以来田舎には帰ってない

個人的には、途中で出会った人が当時にしては近未来的な服装や、おそらく携帯とかを持ってたことから、別世界の人なんじゃないかと思ってる
彼女はその橋渡し的な


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>>140
何がともあれ無事でよかったと思う。

あれだよね。
向こう側の十人からすると、向こう側は素晴らしいところだから、案内したいんだろうね





引用: まじで幽霊にあったんだがwwwww