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真冬の夜中だった

俺は妊娠中の嫁を嫁実家に帰省させた後、
帰省ラッシュを避けて夜中に家に帰る事にした

途中深夜1時過ぎ、一部の国道が雪で通行制限されていたので、旧国道のほうへ迂回した
嫁は助手席えスヤスヤ寝ている、その道は俺の実家の近くなので、道は知っていた
途中に1箇所だけ踏み切りがある

俺が中学の頃、この踏み切りまでが、マラソンのコースに設定されていて、
部活でもよくこの踏み切りまで走ってた
ただ、この踏み切りは、昔からいわく付きのヤバイ踏み切りなんだ

雪道を緊張しながら、踏み切りまで着た
踏み切りまでは、うっそうとした木の中を抜けていく気持ちが悪い道だ
ソコを超えると一気に開けた道になる
踏み切りを超えた瞬間、イヤな感じとともに、一気に重さを感じた
何かが車に乗っちまった、瞬間そう感じた

車の後部座席から蝉の鳴き声が聞こえる・・・・
真冬なのに・・・
でもしっかりと、この耳には蝉の鳴き声が聞こえてくる
ヤバイなぁ・・・と感じていたが、
俺にできることは事故をしないように慎重に運転することだけだ


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15分か20分だろうか・・・
突然、蝉の鳴き声が消えた、だが、ナニかの気配というか、重い空気は
依然かわってなかった・・・

そうこうしてるうちに、当時住んでいたアパートに着いた
まだ、嫁はぐっすりと寝ている。
嫁を残して、車につんであった荷物をもってアパートに運ぶ
3回ほど車とアパートを往復した
最後の荷物をアパートに運んだ後、嫁を起こした

「はっ、はぁあああああ」

嫁が突然叫び、息を肩でしている

「どうした、大丈夫か!!!」

意識朦朧としている嫁に肩を貸して、部屋まで連れていった
俺は、自分ひとりで部屋に入ったときに、真っ先に塩を自分に振りかけ、玄関にも撒いた
嫁を玄関まで連れてきた時、嫁にも塩をかけた
うなだれた嫁を部屋の中に連れ込み、水を飲ませ、落ち着くのを待つ
しばらくすると、嫁がしゃべりだした
嫁は、踏み切りを渡った時のことを覚えていた

「でも寝てたように思えたけど?」
「意識はあったのよ、でも体が動かなかった」

金縛りのような状態になっていたとの事だったが、視覚と聴覚ははっきりしていたそうだ
そして、嫁も蝉の鳴き声を聞いていた・・・


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蝉の鳴き声がした頃から、嫁の左目と右目が別々なものが見えてきたそうだ・・
左目には古いフィルムのような景色、右目には今現在の視界の様子が・・・

嫁の左目の景色は、子供の視界だったそうだ
見えたのは、お祭りの景色、沢山の人、縁日の様子・・・・・
そして、突然暗くなり、蝉の声と踏み切りの遮断機の音、遠くの方から
子供の名前を呼ぶ声
遠くから聞こえていた声は、だんだんと近づいてきて、はっきりしなかった
モノがはっきり見えてきた
50歳前後のおじさんだった
ただし、顔の半分がなく、血まみれで必死で嫁のほうに向かって手を伸ばし
子供の名前を叫んでいたと・・
今にも捕まれそうになった時、俺に揺り起こされたそうだ

後日、俺は実家に電話し、あの踏み切りで事故はなかったか?と聞いた
その昔、今から30近く前のことだが、お祭りの日に、おじいさんが孫をカブに
乗せてお祭りに行っていたそうだ
お祭りの縁日で酒を飲んだじいさんは、そのまま孫をのせて帰路についた
途中、踏み切りにさしかかった時、カンカンという音がしだして、急いで踏み切り
を渡ろうとした時、酔っていたせいか、踏み切りのレール部分で滑って転倒し、
後部座席に乗っていた孫は線路上にほうり出された
じいさんは、一瞬気を失っていたのだろうか・・・列車に跳ねられ体の右部分を失っていた
が、現場には列車の下敷きになった孫のほうに向かって這っていった血のあとが残っていたそうだ・・・・

翌日、嫁はいつもと変わらぬ元気を取り戻し、翌月には元気な娘を産んでくれた
その後は、絶対に何があろうとあの道は通らないと二人で誓った・・・





引用: 【心霊】怖い【オカルト】