223
小5の春の日曜日、いつものように近所の子達と遊んでた。
その頃の田舎の遊びなんて限られてる。
鬼ごっこ、かくれんぼ、木登り、ビー玉とか。
でもその日は違ってた。
8人(女子含む)くらい集まったんでもっと広いところへ移動した。
近くに沢があるんだが、そこで蟹取ったり水を掛け合ったりしてた。
それまでも何度かは遊んだ事があるところ。

で、小便がしたくなったんだ。
A,B,Cと連れ立って女子から離れるように移動した。
いわゆる連れション。
そこで初めて気が付いた。
石が塔みたいに積んであるんだ、何個も。

「これにしよーぜ」って事になって4人がそれぞれ狙ってたんだが、
俺達が居なくなったのに気づいたB姉(小6)がやってきて怒られた。

「これはお墓なの。そんな事しちゃダメでしょ」

源平の話も聞くが、家の近所では戦国時代のほうがメインだった。
「長曽我部が攻めて来た時、逃げ遅れたお姫様が今も首のない馬に乗って走る」とか
「落ち武者狩りであそこで何人、こっちで何人氏んだ」とか昔話で聞いていた。

B姉言うには「落ち武者のお墓だからちゃんと謝りなさい」
ビビりまくった俺達は必死で手を合わせたよ。




224
翌日、Bが青白い顔で登校してきた。
理由を聞いたら、

「昨日、台風みたいな風が吹いてたろ。煩くて眠れなかった」

B以外、そんな音聞いてないし、そんな大風吹いてなかったから
「お前、ビビらすなよ」なんてからかってた。
昼前に「体がすごく重いから」とBが早退した。
俺とA,Cの頭には前日の事が浮かんでた。

その晩、夜中に目が覚めた。
Bが言ってた台風みたいな風音で。
だんだん近づいてくるのが解って、布団に潜り込んで念仏を唱えてた。
しばらくしたらだんだん遠ざかっていくのがわかって、
助かった と安心したのかいつの間にか寝てた。
その翌日、Bは休みで、Aが青白い顔で登校してきて、Bと同じ事を言った。
「体調が悪い」とAも昼前に早退した。

沢からA家の途中に俺家がある。
昨晩のは俺を見逃したんじゃなくて、通り過ぎただけだと思った。
今晩は俺の所に来るって妙な確信があったから、姉と一緒にいないといけないと考えた。
姉は比較的「見える」らしかったから助けてくれると勝手に思ってた。
車庫の2Fで一緒に寝たいと拝み倒して、なんとか一緒に寝る事ができた。



225
夜中。風の音で目が覚めた。
来た来た来た来たー て震え上がったよ。
でも姉がいるから安心とも思ってたんだ。

だんだん近づいてくる風の音、昨日よりも確実に大きく聞こえる。
家の前に来た時に風の音が ピタ と止まった。
「あれ?」と思ったのも束の間、
2Fへの階段を上がってくる音が聞こえた。
階段は外にあって、鉄で出来てるやつ。
学校とかにもあるような、歩くと「カン、カン」て音がするアレ。
あの音が聞こえてくる。
パニック寸前の俺が、助けてもらおうと姉を揺するが一向に起きない。

で、階段を登りきった音が聞こえた。
「うわー」て心の中で叫んだ瞬間、

「ドンドンドン、ドンドンドン」

てドアをノックする音が。
ものスゴイ音なのに、家族はおろか姉も目を覚ます様子が無くて。
ただひたすらに「ごめんなさい」を連呼してた。許してください って。
気が付いたら薄明るくなっててノックも聞こえなくなってた。

学校はA,Bとも休んでた。
俺の顔色みてCも何があったか想像できたらしく、会った瞬間青白くなった。
体はだるーくて重かった。
ひどい風邪を引いたみたいな、そんな。
俺も昼前に早退した。



226
夕方、「見える」おじさんが来た。
おじさん家はかなり離れてるんだけど、近くで釣ってたついでに釣果の御裾分けに来た。
で、俺を見た瞬間何も言わずに連れ出された。
教えてないのにA,B,Cの家に行ってみんな連れ出した。
おじさんは実績があったから「祓ってきてやる」の一言で各親は納得してた。

沢に行って墓の前で上半身裸にさせられた。
おじさんがなにやらつぶやいた後「俺の真似しろ」て言われてその通りにした。
なにかの呪文を唱えてたら吐き気がしてきた、その瞬間、
バーン て、おじさんに背中を平手で殴られた。
ふっと体が楽になって、A,B、を見たら背中に紅葉が出来てた。
おじさんはCを殴るところだった。

帰り際おじさんに「もうあそこで遊ぶな」と言われた。
俺達はもちろん沢で遊ばなくなったし、近所 学校のものも遊ばなくなった。
今の子供達も沢で遊ぶ事はない。
カードゲームとかTVゲームとかで、外で遊ぶこともなくなったからかもしれないが。

問題の沢だけど、今は家の土地なんだよ。
祖父が半分騙された形で家族に内緒で買った。
数年前父に「万が一の時の為」て土地の境界を見て周る事もあったけど、
俺は一切 沢に近づかなかった。
今でも近づいてない。







引用: 【心霊】怖い【オカルト】