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今まで、しばしば不思議な出来事に遭遇してきました。
しかし、一度も何かを見たり感じたり聞いたりしたことはありません。
私が見るのはいつも、突然顔つきが豹変して妙なことを叫びだす人や、
私には見えない何かに驚いて、号泣しながらパニクる人です。
激しく発熱したり、前触れもなく失神したり、失心したりする人を
介抱するばっかりです。

友人たちがみんなで私を騙してるとも限らないが、
そうだとすると、凄まじい演技力だ・・・。
なんせ見えたことがないから「信じない」というより
「信じられない」「信じたくない」の方が正しいかもしれませんね。


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その中で一番ぞっとした話を・・・。

大学時代、友人の家に泊まりに行ったときのことです。
学生の多い1ルームマンションでした。
夜中にものすごい悲鳴で目を覚ましました。
洗面所から灯りがもれてたので近づいてみると、
友人がうずくまってガタガタ震えていました。

友人は疲れを溜めやすい体質なのか、よく金縛りに合うとは
日頃から聞いていました。
慣れているから、「来るな・・・」というのが直前になんとなくわかり、
そのときの身体の動かし方で回避できるとも言っていました。

しかし、その晩は、予感に身構えてたにも関わらず、
回避できずに固まってしまったそうです。
身体の上に乗っている若い女らしき人間がぼんやり見えて、
重くてしょうがない。

その女をどこかで見たことがある人のような気もする。
金縛り=心霊現象ではないと信じていた彼女は
そんなモノが見えたのは初めてで、その時点でもう
かなりパニクっていたようです。
私は横で爆睡していて気づく様子もなく(ごめんな、友よ・・・orz)
しばらくはそのままの状態で居るしかない・・・と、
突然身体が軽くなり、起き上がることが出来た。
全身汗だくになって気持ち悪かったが、シャワーを浴びる気力は残っておらず、
せめて顔だけでも洗おうと洗面所へ・・・。


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手と顔を洗い、目を上げると、鏡にはサイアクに顔色の悪い自分の顔。

「怖かったな・・・何だったんだろ・・・」

と頬に手をあてて ふと気づく・・・
鏡の中の自分は、まだひたすら手を洗っている。
手をあげたり下ろしたりしてみても、鏡の中では相変わらず手を洗いながら
上目遣いでこちらを見ている。

咄嗟に、鏡に映らないところまでしゃがみこんで、
そのまま這って部屋まで戻ろうと考えた。
が、恐怖で身体が思うように動かない。

そのとき、よせばいいのに、上を見上げてしまった。

鏡からこちらを見下ろす自分の顔が物凄い形相で睨んでいる。
そして悲鳴・・・。

私が駆けつけたとき、友人はめちゃくちゃに泣きながら震えていました。
しきりに何か言っていましたが、よくわかりませんでした。
粗相していたため、シャワーを浴びさせて、着替えさせて、
濡れたパジャマを洗濯機に入れたり、後始末が大変でした。

友人は正気を失い、ただ泣くばかりだったし、

「鏡を見たくない」
「一人にしないで」

など断片的に叫ぶという状態で、
シャワーも一緒に入り、私が洗ってあげなければなりませんでした。
何がなんだかわけがわからないなりにも、
とんでもない恐怖が彼女を襲ったことだけは理解していましたから、
私にとってもかなりの恐怖でした。

上記の話はファミレスに移動して数時間経ってから、
ようやく落ち着きを取り戻した友人から聞いた話です。

友人はそのまま実家に帰り、その部屋には戻らないまま引き払いました。
しばらくは鏡が見れずにキッチンで洗顔し、風呂場の鏡を外して、
普段はノーメイク、どうしてものときは私が化粧をしてあげるという
日々を過ごしました。

もう10数年前のことです。




引用: 幽霊を信じてない人が体験した怖い話【多分2】