904 2017/12/18(月) 01:26:52
長文連投スンマソン


クラスや職場に化粧気のない黒髪の日本人形のような女の人って1人はいると思う。
そんな人に限って綺麗というか、可愛いというか、まさしく日本人形みたいな子なんだけど、俺の姪っ子がそんな感じ。
不思議なことに母親である姉にも父親にも似ていない。しかし正真正銘姉夫婦の子だ。

姪の名前は「夢」という名前。
何で夢って名前なのか聞くと姉は「この子は昔から私の友達で、夢ちゃんって言うの。夢ちゃんは私の所に産まれに来てくれたの。新しく名前をつけるのは変でしょ」
と理解しがたい返しが帰ってくる。

しかし両親は驚いた様子はない。姉の言葉に驚いているのは自分だけだった。

俺は仕事が忙しく海外にいた期間が長かったため知らなかったある事実を両親が話してくれた。



905 2017/12/18(月)
20年前くらいのこと。次の赴任先が決まる直前に祖母が亡くなった。俺は葬儀の2日後に日本を離れたため知らなかったが、姉は祖母の形見に市松人形を貰ったらしいんだ。

夏休みや冬休みに祖母の家に行くと、床の間に飾ってあった人形だ。それは知っていた。姉が良くその人形に話しかけていたことも覚えている。

ここからは初めて聞く話だ。



906
姉は祖母の家に泊まるといつも決まってその市松人形と遊ぶ夢を見たらしい。その夢の中で市松人形は自分の名前を「夢」と語ったらしい。

祖母の死後、姉は昔見た夢のこともあり、形見の人形をかなり可愛がった。なかなか子宝に恵まれなかったことも影響していたと思う。

元々着せ替え人形である市松人形だが、姉は自分の手でたくさんの服を作ったり、話しかけるのが当たり前になっていた。
その取り憑かれたようになった姉を心配して姉の旦那はうちの両親に相談した。

両親は子供の頃に姉が人形の夢を見ると言っていたことをその時思い出したと言う。

両親が後日姉の様子を伺いに行くと、人形を人のように扱う以外には姉は普通だったためもう少し様子を見ようということになった。



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それから数ヵ月、旦那がまた相談に来た。人形が動くというのだ。人形を気味悪がっていた旦那は夫婦の寝室に人形を置くことを拒んでいたため人形は客間にあった。
しかし夜に起きてトイレに行こうとすると廊下に立っているという。しかも毎晩。客間に戻しても少しずつ寝室に近づいてきているというのだ。

両親が急いで姉の様子を見に行くと、姉は「夢ちゃんが行きたがっている所があるから明日連れていく」
と言う。

翌日、心配になった両親も一緒についていくと、意外にもそこは人形供養で有名なある寺だった。

人形を供養して、寺に預かってもらった後両親は「あんなに大事にしてたのにいいのか?」と聞くと、姉は「夢ちゃんと別れるのは辛いけど、また会う日まではここで頑張ると夢ちゃんが言っているから私も頑張る」と言う。



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あまりにあっけなく人形騒動は収まり半年後、両親も半ば諦めていた子宝を姉が授かり、翌年元気な女の子が生まれた。

子供に「夢」と名付けることに両親は反対して、本当に人形の呪縛から姉は解かれたのか人形を納めた寺に聞きに行った。

住職は答える。
「何でも人の想いがこもった物は魂を持つようになるんです。植物や昆虫に近い魂がほとんどですが、同じ血筋で何代も可愛がられた人形は人に近い魂を持つことがたまにあります。
ただ、勘違いしてはいけない、魂というのは怨念では形作ることはできないのです。
愛情や慈しみの念でしか魂は形作られない。人間と同じです。」

住職はつづける。「可愛がられ魂を持った人形は、もう人形ではありません。
しかし魂があっても人ではない。
ここはそんな魂を持ってしまった物や人形が次に魂を伝えるための手助けをする所なんです。心配しなくても大丈夫です。
このような相談は珍しいことですが、たまにあることです。」

母は住職の話を聞きながら自分の母が、そして自分もあの市松人形を可愛がっていたことをはっと思いだし涙が出たという。
そして名前は「夢」以外にないと感じたらしい。



909
人形はいつの時代でも人々に愛されている。なぜ愛されるのか?なぜ愛する人が必ずいるのか?姉の市松人形のことで少し分かった気がする。
職場や学校にいる黒髪の日本人形のような女の子も実は、、、
なんて思えてくる。
そうそう、
姪が生まれる前日旦那も夢を見たらしい。夢の中であの市松人形が、「ママと会わせてくれてありがとう。パパ大好き」と言ったらしい。





我ながら想うのは怖くもなく良くできた作り話だなということです。



910
>>909
スレタイ読め!ほんのりと怖い話
ピッタリじゃないか…w


919
>>909
作り話?問題なし。
面白かった。
また宜しく。ありがとう


923
>>909
あんたがナンバーワンや







引用: ほんのりと怖い話スレ 126