55 2015/10/27(火) 23:16:08
石じじいの話です。

彼が住んでいた村には真言宗のお寺がありました(さすが四国ですね)。
その寺の裏山(寺所有の山林)に、石切場があり、そこから砂岩がとれたそうです。
あまり硬くなく質が良いとは言えないものでしたが、加工が容易ですぐに手に入ったので、その寺をはじめとして、村落の石垣などを築くときに、利用したそうです。
墓石にも使われましたが、年月がたつとぼろぼろになって、ほった文字が読めなくなるようなしろものでした。

じじいは、その石切場での石の切り出しと加工も請けおっていました。
生前、彼の小屋で、ぼろぼろにさびた鉄製の大きなはさみのようなものを見せてくれたことがあります。これで、石を挟んで運ぶんや、と言ってました。

石垣用の石を割っていたときに、その砂岩のなかから、女性の顔が出てきたそうです。
たまに、化石がみつかることがある地方でしたが、その石切場からは、それまで化石など発見されたことはなく、それにもまして、それがリアルな女性の三次元の顔(マスク)だったので、たいそうたまげたとのこと。
それは、けっこう美人で、眼をつむっていたそうです。もちろん眼を開くようなこともなく。
石に割れ目があって、それにそってくさびを打ち込んだら、ぼろっとそこから二つに分離して、顔が出てきたと。
実際の人間の顔よりもちょっと小ぶりだったそうで、雌型(モールドともいいますが)もしっかりと残っていました。
雄型(凸)は、気色が悪いということで、お寺でお経を上げてもらって、池の土手に塚を作って埋めたとのこと。
雌型のほうは、じじいがこっそりと家にもってかえって置いておいたそうです。
漬け物石などに使ったそうですが、いつの間にか無くなっていた。



59
石じじいの話です。

私の故郷の四国の地域(=じじいのホームグラウンド)では、海からの石を持ち帰るのを忌避する風習は無かったですね。
じじいは、平気で海岸へも石拾いに行っていたそうです。
曰く、「海岸は、崖が露出しとるけん、ええ石がよう見つかるんよ」

海岸を歩いていると、山側に露出している石(地層でしょうけど)が変わると、海岸に露出、
転がっている石の種類も変わるのだそうで(当然ですが)
海岸には、いろいろなものが打ち上げられていたそうですが、人間の腕があったのには驚いた!と。
かなり腐敗していて骨も見えており、他の部位はなかったそうです。

近くの漁村の派出所に届けたそうですが、結局身元もわからず、事件性無しと判断されたそうです。
水死か自サツか・・・
古い墓石が何基か海岸に転がっていたこともあるそうですが、これは、その近くの崖の上にあった墓が波で削られて崩落してしまったあとだったのではないか、とオカルト夢のないことを言っていたじじいでした。



71
>>59
石じじいの話です。

海岸も歩いて、石をさがしていたじじいですが、「そのかいあって」、水氏体も、数体見つけたそうです。そこで、水氏体の検死の豆知識。
「一緒に調べに来た警察官(鑑識係でしょうけど)に聞いたんやけどな。水氏体には、切り傷みないなもんがあることがようあるんと。それやけどや、それでサツ人、ということにはならんのと。水氏体がフカに喰われて、切り傷みたなのができることもあるし、船のスクリューに巻き込まれて、氏体が切れたりばらばらになったりすることがあると。 それやけん、傷があるゆうてサツ人ということにはならんのど。」

「フカ」とはサメのことで、地元では、フカの湯ざらしという料理がありました。
今も普通に食べられているようです。



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渓流釣りに行った時人工物としか思えないほど正確な球になってる石見つけたことあったんだけどポケットに入れてたら落としたのかどっかいってた


60
>>58
石じじいの話です。

山で球形の石を拾ったことがあったそうですが、とても「運の悪い」石で、もってくるのをあきらめたそうです。
その石は、まるで研いたように球形に近く,表面がなめらかで乳白色だったそうです。
硬いので瑪瑙ではないか?と思って「これは高く売れる!」と判断して、小さなウリほどのサイズのその石を持って帰ろうとしたそうです。そこから、不運が始まったとのこと。

野外用に用意した弁当が腐っていた;沢を下るときに何度も転ぶ、とのかく転ぶ; 転んだひょうしに、肋骨を痛めた(後で病院の診察で判明);ズボンの軍用革ベルトがぶちっ、と切れた(ロープで代用した);やたらとハチがやってくる(攻撃的);天候がいってんにわかにかき曇って雷雨になる;しきりに雷鳴がとどろいて、近くの樹木に落雷。

これは、この石を持って帰ってはよからぬことが起こる!と思って、捨ててきたそうです。
どうやって?山道の目立つところに小石をくみ上げて、その上に置いてきたそうです。

その石は、後日、違う災厄をもたらします。



69
>>60
石じじいの話です。

石じじいには、ライバルと呼ばれる人物がいました。
近くの町に住んでいる割と金持ちの人間で、趣味で石を集めていました。
昔でも珍しい自動車を持っていて、機動力があったと。
(後に、じじいも、ものすごい中古車を買って、機動力を入手するのですが・・・)

彼が、山から帰って数日後、じじいのところにやってきてうれしそうに言いました。
「いやいや、山で良い石を見つけてな。丸い白石なんよ。これはみずらしいわい。道ばたに祀ってあったんやけど、いつ誰がそうしたんな。前は無かったんだが。 いやしかし、得したい。」

じじいは、それは自分が置いていった、アノおかしな石だ!と気がつきました。
じじいは答えて「しかし、そりゃ、祀ってあったんやけん持って帰ると祟りがあるかもしれんよ」
金持ち曰く「あ・る・かい、そんなもん。迷信、迷信じゃ。」
三日後、その金持ちの葬式があったのは言うまでもありません。

わたしは疑念をもって、じじいにたずねました。
「しかし、その石、目立つところに置いとったんは、じいちゃんやろ? ほかの人に害がないように、見つからんとこに捨てたらよかったやない?」
じじいは、にやりと笑って「ほんでも、競争相手がおらんなったんよ。そのおかげで」

じじい!やったなっ!