881
田舎が茨城なんだけど、自分が子供の頃は夜になると街灯もなくて真っ暗だった。
都心に住んでた自分にとっては、恐い所って印象しかない。

そこの家から海まで歩いていけるんだけど、ルートがふたつあって、ひとつは田んぼの横の道、もうひとつは小さな山の雑木林を行く道。
雑木林の道はムジナが出るから、ひとりで歩いちゃいけないって言われてた。

ムジナってなあにって聞いても、そりゃムジナはムジナだわって答えしかしてくれない。
ただ、ムジナは人を騙すって言うのは聞いていた。


882
伯父さんって人は怠け者で、呑んだくれで毎日のように、
家から2km位の所にあるスナックに呑みに行ってたらしい。

夜遅くなっても( 10時とかね)、伯父さんが帰って来ない時があって、
そういう時は帰り道の何処かで爆睡してたらしい。

長男が自転車で伯父さんを探しながら、スナックへ向かう。
道の端っこで寝てる伯父さんを回収して帰る。
時々、近所の人が回収してきてくれることもあったそうだ。

ある日、いつものように長男出動したのはいいけど、
伯父さんは何処にもいなくて、とうとうスナックまで辿り着いてしまった。


883
スナックのママが言うには、7時頃には店を出た。
長男は取り敢えず駐在所に寄って、協力してもらうことにした。

駐在所だけでは人手が足りないという事で、市の警察にも協力依頼して大騒ぎになった。

伯父さんの家のある町の自警団も出動して、田んぼにはまっていないか、
雑木林の道の何処かで寝ていないかと探し回ったらしい。

この頃には、みんなムジナが出たって確信してたんだと。

夜が明ける頃、伯父さんは見つかった。
雑木林の道から250m位外れた所。

誰も行かないので、道すらないような所に古井戸がある。
知らない人の方が多いその古井戸が、いつまで使われていたのかも定かではない。


884
伯父さんはその枯れた古井戸に落ちて氏んでいた。

雑木林のある山はスナックから来ると、家を通り越して行く事になる。
古井戸への道はないし、真っ暗闇の中、辿り着くのは不可能だ。
何故伯父さんがそこへ行ったのか見当が付かない。

ムジナ説は確実となった。

伯父さんの死因は、古井戸の中に発生したガスによる中毒死で、怪我はしていなかった。
顔は土気色に変わり、身体の至る所に、ヒルがへばりついていたそうだ。


885
ムジナってのはアナグマのことだが、タヌキ、イタチ、テン、この辺の動物と明確な違いをつけてない地方が多い。
イタチのことをムジナと言って、タヌキと区別するところもある。
化かしたんだろうからタヌキのことをムジナと呼ぶ地方かね。

でもそのサツ人の場合、ムジナ説を言い出した人が怪しい…


897
毎日の様に呑みに行ってたおじさんて、まめだと思うよw
真の怠け者は毎日出歩くの面倒くさがるよ、家でごろごろする事が怠け者たる所以だしな
人を化かすムジナって、実在動物の方じゃなく妖怪の方だろ?


900
小泉八雲のムジナはのっぺらぼうだったような気も。
伯父さん、天国で大好きなお酒飲んで楽しんでると良いですね。
合掌


907
881です。
レスどうも。

>>885
ムジナ説を言い出したのがサツ人犯だとしたら、町の人全員が犯人ですよ。w

 >>900
きっと今でも、どこかで飲んだくれてるんでしょうね。
伯父さん、飲み過ぎで胃潰瘍になって胃を半分取っても、飲み続けてたくらいだから。
小泉八雲のムジナは、中学の英語の教科書に出ていて、ア ムジ~ナとか言ってのっぺらぼうが出てきてもなんか、滑稽でした。


909
>>907
>ムジナ説を言い出したのがサツ人犯だとしたら、町の人全員が犯人ですよ。w

…こわっ


911
>>909
確かに町の人が全員犯人説はこわ。
横溝正史調の小説が書けそう。






引用: ほんのりと怖い話スレ その90