690 2013/03/15(金)
死んだ祖父に聞いた話

祖父の祖母の時代というから大正か明治だかの話だと思う。
祖母が住んでいた町である朝、娘さんがいなくなった。
一緒に寝ていた兄弟たちも少しも気付かなかったそうだ。
町内で評判の美人だったから、町は騒然となった。
駆け落ちか、神隠しか、人攫いに攫われたかと心当たりは愚か川や山を探したが見つからない。
娘の母親は心配のあまり寝込んでしまったそうだ。

ある夜、母親の夢枕にいなくなった娘さんが立った。
突然姿を消したことを侘び、自分は嫁いだ身だからもう帰れないが、元気を出してくれといったそうだ。
母親は驚いて、本当か?駆け落ちでもしたのか?相手は誰だ?都会の学生か?と聞いた。
娘さんは首を振って、相手は云えないが、悪い人ではないからと云う。
母親はそれでも一度でいいから帰って来い。悪いようにはしないからと言ったが、
娘はもう会えない、帰れない。自分は嫁いでしまったからと繰り返した。
嘆く母親に、自分とわかる形見を残したから、きっと受け取ってくれと念を押して娘は消えた。
身なりもいいし、やつれた風でもなかったが、ずっと口元を隠していたそうだ。




それから暫くして家族が警察に呼ばれた。犯人が警察に送りつけた挑戦状だと見せられたのは、
一揃いの人間の歯だったそうだ。ただ左右の糸切り歯と対の下の歯がなかった。
親は町の人間は、それを見て納得した。
娘は器量良しだったから、山の神の嫁に取られてしまった。嫁に行っていらなくなった歯を、形見代わりに還してきたんだと。
昔から何十年かに一度、そういうことがあったらしい。
それで娘のいなくなった日を命日として、警察から下げてもらった歯を形見として墓に入れたんだそうだ。
警察ではそんな迷信が今時あるものかと随分捜査したそうだが、結局娘さんは見つからなかったんだってさ。

祖父の祖母は、昔語りに女子はあんまり器量よしでもいけない。山の神に取られるから。と祖父に云ったそうだ。


700
>>690
面白かった
娘の顔に、犬歯のみ残った口を想像すると
鬼とか夜叉みたいな女性が浮かび上がるわ

それこそ神の姿なのか


695
>>690
でも連続殺人犯が生息していたのかもと考えると怖いよ


696
山の神に嫁ぐと歯が要らなくなる?
よく分からん
人類が宇宙に進出して、宇宙食ばかり食べてると顎が小さくなるようなもん?


698
>>695
祖父さんが聞いたところによると、70-80年に一度とかそういう間らしい。

>>696
そこはよく知らないが、祖父に聞いたところによると、人間の歯は抜け落ちるんだと。
人間だって子供の歯が大人の歯に変わるときに抜け落ちるだろう。それと一緒だ。と祖父に言われた。
ただ糸切り歯とその下の歯(犬歯?)はそのままらしい。

祖父は祖父の祖母に、その家が何処だかも聞いていたそうだ。(俺にいっても判らないからと教えてくれなかったが)
山の神に嫁入った娘の家族というんで、妹や弟はいい縁談があったんだってさ。
戦争の時に兵隊にとられたそこの家の息子が無事に帰ってきたときには、やっぱり山の神の縁者だな。守ってもらえたんだなと噂になったとか云ってた。


702
>>698
人間の歯は抜けて、新たな歯が生えてくる感じなんですかね?


716
>>698
>ただ糸切り歯とその下の歯(犬歯?)はそのままらしい。

妙にリアル
俺、歯の食いしばりで歯の根がガタガタで40までにほぼ全滅とは医者に言われてるが
その4本だけはしっかりしててこの4本除いた入れ歯になるかもといわれてる。


712
>>698
似たような御伽噺思い出した。

その御伽噺は山の神でなく龍神に嫁いだか龍神そのものになったとかって話。
秋田県かどっか東北の話だったけど。


714
>>712
田沢湖の辰子姫伝説かな?

柳田の本にあったと思うんだけど、農山村の辛い労働や嫁姑の確執に耐え切れず
精神崩壊した女性が、何の前触れもなく山へ駆け込んでしまう、ってことがままあったらしいね。
それを「山の(神の)嫁になった」と称したのかな。


736
>>714
それだ。
辰子姫伝説。


745
>>736
辰子姫伝説だと、夫は八郎太郎だね。
三湖伝説でぐぐると色々でてくるはず
八郎太郎は昔日本昔話でやった記憶がある
辰子伝説

田沢湖のほとり神成村に辰子という名の娘が暮らしていた。
辰子は類い希な美しい娘であったが、その美貌に自ら気付いた日を境に、いつの日か衰えていくであろうその若さと美しさを何とか保ちたいと願うようになる。
辰子はその願いを胸に、村の背後の院内岳は大蔵観音に、百夜の願掛けをした。
必死の願いに観音が応え、山深い泉の在処を辰子に示した。

そのお告げの通り泉の水を辰子は飲んだが、急に激しい喉の渇きを覚え、しかもいくら水を飲んでも渇きは激しくなるばかりであった。
狂奔する辰子の姿は、いつの間にか龍へと変化していった。
自分の身に起こった報いを悟った辰子は、田沢湖に身を沈め、そこの主として暮らすようになった。

辰子の母は、山に入ったまま帰らない辰子の身を案じ、やがて湖の畔で辰子と対面を果たした。
辰子は変わらぬ姿で母を迎えたが、その実体は既に人ではなかった。
悲しむ母が、別れを告げる辰子を想って投げた松明が、水に入ると魚の姿をとった。
これが田沢湖のクニマスの始まりという。


北方の海沿いに、八郎潟という湖がある。
ここは、やはり人間から龍へと姿を変えられた八郎太郎という龍が、終の棲家と定めた湖であった。
しかし八郎は、いつしか山の田沢湖の主・辰子に惹かれ、辰子もその想いを受け容れた。
それ以来八郎は辰子と共に田沢湖に暮らすようになり、主のいなくなった八郎潟は年を追うごとに浅くなり、主の増えた田沢湖は逆に冬も凍ることなくますます深くなったのだという。

一部では、タッ子(辰子)には不老不死の願望があったが、のちに夫となる八郎にはその願望はなく、たまたま同じ行為にふけるうち、「唯、岩魚を食ひ、水を鯨飲してゐるうちに龍體となつてしまつた」とも語り継がれていた。

なお、湖の北岸にある御座石神社には、辰子が竜になるきっかけとなった水を飲んだと言われる泉がある。

田沢湖の湖畔には辰子伝説にまつわる像が4体あり、漢槎宮近くにある舟越保武作の「たつこ像」の他に、湖の東岸にある「辰子観音」、北岸にある「姫観音像」、御座石神社境内にある「たつこ姫像」がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/田沢湖

747
>>745
おお、サンクス。
夫の八郎太郎は知らなかったけど、ググったら面白かった。
こういう話、山では無いのかね。

俺が知ってる山関係の話は、山に住む神が醜女で自分好みの男が山に入ってきたら帰らないように拉致したり(今でいう神隠し?)、男女が登山したら嫉妬して悪戯?をしたりするって話。

村人がある魚(種類忘れた)を奉納したら「私以上に醜いものが存在するのか」と驚き喜んで、それ以来その魚を奉納して、山の安全を願掛けするとかなんとか。


ウロだから所々間違ってるかも。


749
>>747
醜い魚はオコゼね。
マタギとか炭焼きとか、山仕事に入る時の奉納物にこれを持っていくっていうね。


708
山の神様に捕られた・嫁いだってのは、ことを穏便に収める(遺族?の気持ちを慰撫する)ための
いわば方便なんだろうね。
数十年に一度そういうことが定期的に起こるっていうのも、特に記録として残ってるわけじゃないんしょ?
関係者の気持ちをそういう方向に持って行くための、いわば後付け設定として語られることで。
真実がどんなものかはわからないけど、おそらく美人さんは犯罪被害者になっちゃってて、
真相、もしくは責任の所在がどこにあるか、共同体の皆は薄々気づいてる。
でもそれは、犯人的にも娘さんの名誉のためにも言うのが憚られる…つーか、言ったらお仕舞いや
みたいのんがあるんじゃないかと。
そういうどうしようもないフラストレーションを昇華するために、『山の神の嫁』みたいな超常の世界に
逃げるというか、ガス抜きをするんだろうなあ。

弟妹に良い縁談があったというのも、出征した身内が無事戻ってきたというのも、
そういう方に影響力のある人間が事件に絡んでいて、罪滅ぼし…なんて殊勝なもんじゃないな
ちょっとした代償として手配りをした、と考えられない?
…なんかその方が怖いやな。

ちょっと違うけどTONOさんの話で、終戦直後の山村で神隠しに遭って、
気持ちが普通じゃなくなった女の子の話思い出した。
あれは、山に棲みついた復員兵か街からの流れ者に拉致されて乱暴されたのが
真相じゃないか…ってことになってたなあ。
何にしろ別な意味で厭な話だけど、いろいろ考えられて面白かった。乙


729
>>708
それこそ、まじで怖いと思う。






引用: ∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part67∧∧