山の怖い話
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依然、波打つ東北道を下って岩手県某市に入った
下仁田ねぎと玉蒟蒻を手土産に引提げての帰省となる

さて、IC近辺を通過して実家から十分圏内の地点まで来た
IC近辺~駅を繋ぐ直線道路は開発が進んでいるが、この辺りは田園が広がる
ここで山に入る訳であるが、照明は少なく、曇天のために月明りも期待出来ない
ハイビームに切替え(たような気がするのだが)、狭く蛇行する山道を進む

すると、赤提灯が見えた
他家の爺様が道楽ではじめた屋台、だと確信した
通過する際、更に速度を落としつ窓を開け、

「ooさん、ooです。お変わりないようですね」

そのような類の挨拶を投げた
屋根から垂れる暖簾の下から、四~六本の足が見えていたように思う




570
返事は無かった
話し声もせず、何かを煮詰めている音が聞こえた

あらん、と再度呼掛け……ようとしたが、違和感に脇を見やった
果して赤提灯に照らされた白地の幟が立っており、

「人間様 お断り」

の文字、黒々と染め抜かれて不気味に泳いでいて
「やだ怖い」と、梨の礫である屋台前から急発進で脱出した

帰省をはたして晩めの夕餉を囲いつ、

「ooさん、何かあったか」

この事が気になり訊ねたが、

「元気にしている」

これであり、翌日に挨拶に行ったところ、

「毎週、木曜だけは屋台出すから、来てくれな」

豆腐屋を経営されているooさん、きらずを一袋、私に投げて寄越す
木曜日とは、つまり過去でいうところの今日に当たる為に、

「あ、そうでしたか。昨晩、ちょっと気になったんですよ」
「うん。おれも歳だから、木曜だけ」


571
スレの趣旨とずれるかも知らんけど山道の不思議だったんで投下
人間様と言うからにはやっぱり狸とか、そんな類なのかな
あの爺さんも狸面だし、俺が担がれただけかも知らんが


574
>>570
乙。
屋台の奥の鍋のグツグツが車のエンジン音に負けないで聞こえるって、かなり大きい音だと思うんだけど、一体何を煮込んでいたのかねー


576
つまり、水曜の夜に出ているはずのない屋台が出ていた…と?
狸が幻像を出していたと?



584
>>574
屋台との距離が近かった……にしても鮮明なので、しかと聴いたんだろうね
煮込んでいたのは何だろう、そういえば匂いの記憶が全然無い

>>576
「帰省したら変な屋台みた、でも帰省当日に屋台は出ていないらしい、では何だったんだろうね」
という話だったのさ

狸云々は実家近辺にも、点在する民話と似た話が残ってるから連想しただけ
無確認の時点でどれも憶測だが、もし怪に出会っていたなら現代ロマンもまだ捨てたもんじゃないと思う


585
>>584
面白いねぇ!
屋台を見た狐狸妖怪の類いが真似してみたのかな?
で、584の反応見て自信つけてたり。






引用: ∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part67∧∧