1 2021/01/16(土) 20:00:15.252 ID:N/ANhNQy0
男「日本に来て、こんな素敵な女性に会えるなんて嬉しいよ」
女「あたしも今日一日楽しかったわ」
女「あ、そうだ。今夜……あたしんち泊まらない？」
男「……！」ﾄﾞｷｯ
男（もうこの子と会うこともないだろうし……）
男「泊まる泊まる！ 喜んで泊まらせてもらうよ！」
女「決まりね！ さっそく家に電話するから……」
女「あたしも今日一日楽しかったわ」
女「あ、そうだ。今夜……あたしんち泊まらない？」
男「……！」ﾄﾞｷｯ
男（もうこの子と会うこともないだろうし……）
男「泊まる泊まる！ 喜んで泊まらせてもらうよ！」
女「決まりね！ さっそく家に電話するから……」
5 2021/01/16(土) 20:03:29.714 ID:N/ANhNQy0
女「もしもしお母さん？」
女「……うん。今日男の人、連れていくから」
女「やだー、そんなんじゃないってー」
女「……」ﾋﾟｯ
女「オッケーだって。行こう」
男「ありがとう」
女「……うん。今日男の人、連れていくから」
女「やだー、そんなんじゃないってー」
女「……」ﾋﾟｯ
女「オッケーだって。行こう」
男「ありがとう」
9 2021/01/16(土) 20:06:08.622 ID:N/ANhNQy0
女「ただいまー」
男「お邪魔します」
母「いらっしゃいませ」
母「今からちょうど家族で夕食なの。よかったらどうぞ」
男「では、遠慮なくご馳走になります」
女「リビングはこっちよ。さ、どうぞ！」
男「お邪魔します」
母「いらっしゃいませ」
母「今からちょうど家族で夕食なの。よかったらどうぞ」
男「では、遠慮なくご馳走になります」
女「リビングはこっちよ。さ、どうぞ！」
12 2021/01/16(土) 20:09:37.242 ID:N/ANhNQy0
女「えーと、紹介するね。まずこっちから……」
父「父です」
兄「ども、こいつの兄貴っす」
妹「妹でーす！」
ポチ「ワン！」
男「初めまして、一晩お世話になります」
父「君は海外の人かね？」
男「はい、日本には観光で来てまして……」
兄「日本語うまいねえ。ペラペラじゃん」
男「日本には前々から来たいと思ってたので、猛勉強したんですよ」
父「父です」
兄「ども、こいつの兄貴っす」
妹「妹でーす！」
ポチ「ワン！」
男「初めまして、一晩お世話になります」
父「君は海外の人かね？」
男「はい、日本には観光で来てまして……」
兄「日本語うまいねえ。ペラペラじゃん」
男「日本には前々から来たいと思ってたので、猛勉強したんですよ」
13 2021/01/16(土) 20:13:11.865 ID:N/ANhNQy0
母「まずはスープをどうぞ」
兄「いただきまーす！」ｼﾞｭﾙｯ
妹「おいしー！」ｺﾞｸｺﾞｸ
女「ったく、ひどい食べ方。恥ずかしいわ」
男「……」ｽｯｽｯ
女「それに比べて、すごく上品に食べるね。二人とも見習ってよ」
父「ひょっとして、かなりいいとこのお坊ちゃんなんじゃないのかい？」
男「いえ、そんなことありませんよ」
兄「いただきまーす！」ｼﾞｭﾙｯ
妹「おいしー！」ｺﾞｸｺﾞｸ
女「ったく、ひどい食べ方。恥ずかしいわ」
男「……」ｽｯｽｯ
女「それに比べて、すごく上品に食べるね。二人とも見習ってよ」
父「ひょっとして、かなりいいとこのお坊ちゃんなんじゃないのかい？」
男「いえ、そんなことありませんよ」
15 2021/01/16(土) 20:16:07.738 ID:N/ANhNQy0
兄「こいつのどこに惹かれたの？」
男「とても爪が綺麗な人だな、というのが第一印象でした」
妹「お姉ちゃん、いつも爪の手入れしてるもんね」
女「そんなことないってー」
父「そのわりに色々と詰めは甘いけどな」
女「ひっどーい！」
ｱﾊﾊﾊﾊ…
TV『……』
TV『続いて海外のニュースです』
男「とても爪が綺麗な人だな、というのが第一印象でした」
妹「お姉ちゃん、いつも爪の手入れしてるもんね」
女「そんなことないってー」
父「そのわりに色々と詰めは甘いけどな」
女「ひっどーい！」
ｱﾊﾊﾊﾊ…
TV『……』
TV『続いて海外のニュースです』
17 2021/01/16(土) 20:19:21.889 ID:N/ANhNQy0
TV『日本とも友好関係にあるA王国の第一王子が、行方不明になっている事件で……』
TV『王位継承者である王子を狙う反王子勢力の暗躍も確認されており、安否が気遣われ……』
男「！ あ、すいません。チャンネル変えてもいいですか？」
父「ああ、かまわないけど」
ﾋﾟｯ
TV『なんでやねん！ ﾜﾊﾊﾊﾊ…』
女「漫才好きなんだ」
男「うん、日本のコメディアンはレベルが高いからね」
TV『王位継承者である王子を狙う反王子勢力の暗躍も確認されており、安否が気遣われ……』
男「！ あ、すいません。チャンネル変えてもいいですか？」
父「ああ、かまわないけど」
ﾋﾟｯ
TV『なんでやねん！ ﾜﾊﾊﾊﾊ…』
女「漫才好きなんだ」
男「うん、日本のコメディアンはレベルが高いからね」
19 2021/01/16(土) 20:24:28.417 ID:N/ANhNQy0
母「はい、今夜はステーキよ」
父「さて……俺はステーキは最初に全部切っておきたいタイプなんだ」
父「それっ」ﾋｮｲｯ
ｽﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟｯ!
男「え！？」
男（空中でステーキをバラバラにした……！）
父「これでよし」
女「お父さん、相変わらず上手ねえ」
妹「空中でやる意味ないけどねー」
父「さて……俺はステーキは最初に全部切っておきたいタイプなんだ」
父「それっ」ﾋｮｲｯ
ｽﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟｯ!
男「え！？」
男（空中でステーキをバラバラにした……！）
父「これでよし」
女「お父さん、相変わらず上手ねえ」
妹「空中でやる意味ないけどねー」
20 2021/01/16(土) 20:27:15.579 ID:N/ANhNQy0
兄「俺もっとステーキソースかけたいなぁ。母さん取ってくんない？」
母「はいはい」ﾋｭﾙｯ
ｶﾞｼｯ!
母「ほらっ！」ｼｭｯ
兄「サンキュー！」ﾊﾟｼｯ
男「ええっ！？」
男（紐を使って、器用にソースの瓶を届けてみせた……！）
母「はいはい」ﾋｭﾙｯ
ｶﾞｼｯ!
母「ほらっ！」ｼｭｯ
兄「サンキュー！」ﾊﾟｼｯ
男「ええっ！？」
男（紐を使って、器用にソースの瓶を届けてみせた……！）
21 2021/01/16(土) 20:30:23.904 ID:N/ANhNQy0
兄「やっべ、歯に肉が挟まった」
兄「爪楊枝、爪楊枝と」ｼｰｼｰ
兄「ゴミ箱どこだー？」
妹「あっちー」
男（かなり離れてる……投げて入れるわけにはいかないな）
兄「それっ」ﾋｭｯ
ﾊﾟｽｯ
男（すごい。一回で入れた……！）
兄「爪楊枝、爪楊枝と」ｼｰｼｰ
兄「ゴミ箱どこだー？」
妹「あっちー」
男（かなり離れてる……投げて入れるわけにはいかないな）
兄「それっ」ﾋｭｯ
ﾊﾟｽｯ
男（すごい。一回で入れた……！）
22 2021/01/16(土) 20:33:11.292 ID:N/ANhNQy0
妹「このお肉かたーい！」
母「そんなに高くないお肉だからねえ」
妹「ま、いいや。だったら柔らかくするまで！」
男（なにかお肉を柔らかくする技、知ってるのかな？）
妹「あたしが開発したこの薬で！」
男「えええええ！？」
男（まだ子供なのに、薬を“開発”ってどういうことだ！？）
母「そんなに高くないお肉だからねえ」
妹「ま、いいや。だったら柔らかくするまで！」
男（なにかお肉を柔らかくする技、知ってるのかな？）
妹「あたしが開発したこの薬で！」
男「えええええ！？」
男（まだ子供なのに、薬を“開発”ってどういうことだ！？）
24 2021/01/16(土) 20:37:41.111 ID:N/ANhNQy0
女「ポチもお肉お食べ」
ポチ「ワン！」
女「ほら」
ポチ「ガルルァ！ ガルルルルァ！」ｸﾞｧﾂｸﾞｧﾂ
男（なんてド迫力！ まるで地獄の番犬ケルベロスのような――）
女「ご飯どうだった？」
男「お、おいしかったよ」
女「じゃあ、あたしの部屋に行こっか」
ポチ「ワン！」
女「ほら」
ポチ「ガルルァ！ ガルルルルァ！」ｸﾞｧﾂｸﾞｧﾂ
男（なんてド迫力！ まるで地獄の番犬ケルベロスのような――）
女「ご飯どうだった？」
男「お、おいしかったよ」
女「じゃあ、あたしの部屋に行こっか」
26 2021/01/16(土) 20:40:10.077 ID:N/ANhNQy0
女「ごめんね、うちの家族みんな変でしょ？」
男「そんなことないよ」
男（たしかに……だいぶ変わった家族だな）
女「日本はどうだった？」
男「うん、とても治安がよくて、みんな親切で……」
女「どんなところ行ったの？」
男「お寺や神社を回って、タワーや公園を散策して、有名な横町にも……」
女「楽しんでもらえてよかった。トイレ行ってくるね」
男「うん」
男「そんなことないよ」
男（たしかに……だいぶ変わった家族だな）
女「日本はどうだった？」
男「うん、とても治安がよくて、みんな親切で……」
女「どんなところ行ったの？」
男「お寺や神社を回って、タワーや公園を散策して、有名な横町にも……」
女「楽しんでもらえてよかった。トイレ行ってくるね」
男「うん」
28 2021/01/16(土) 20:43:18.444 ID:N/ANhNQy0
男「……」
男「ん？」
男「この本棚……なぜか布がかけてある」
男（本来なら他人の部屋を探るなんてよくないけど、彼女やここの家族は気になるところがあるし……）
男「失礼」ﾊﾟｻｯ
『図解 人体の急所』
『刺客に倒された偉人たち』
『古武術から学ぶ体捌き』
男「なんだこれ……！？」
女「見たわね……」
男「！？」ｷﾞｸｯ
男「ん？」
男「この本棚……なぜか布がかけてある」
男（本来なら他人の部屋を探るなんてよくないけど、彼女やここの家族は気になるところがあるし……）
男「失礼」ﾊﾟｻｯ
『図解 人体の急所』
『刺客に倒された偉人たち』
『古武術から学ぶ体捌き』
男「なんだこれ……！？」
女「見たわね……」
男「！？」ｷﾞｸｯ
30 2021/01/16(土) 20:46:30.058 ID:N/ANhNQy0
女「乙女の部屋を探るなんてマナー違反よ」
男「す、すまない！」
女「ま、いいわ。そろそろ正体を明かそうと思ってたところだし」
男「正体……？」
女「ねえ……A王国の王子様」
男「！！！」
女「王位継承前に、お忍びで日本に遊びに来るなんてずいぶんアグレッシブな王子様だこと」
男「最初から……知ってて近づいたのか……」
女「そうよ。近づいたのは……もちろんこのため」ｼﾞｬｷｯ
男「かぎ爪……！」
男「す、すまない！」
女「ま、いいわ。そろそろ正体を明かそうと思ってたところだし」
男「正体……？」
女「ねえ……A王国の王子様」
男「！！！」
女「王位継承前に、お忍びで日本に遊びに来るなんてずいぶんアグレッシブな王子様だこと」
男「最初から……知ってて近づいたのか……」
女「そうよ。近づいたのは……もちろんこのため」ｼﾞｬｷｯ
男「かぎ爪……！」
32 2021/01/16(土) 20:49:28.273 ID:N/ANhNQy0
女「あなたの敵勢力は、なんとしても王位継承前にあなたを倒したいでしょうね。王になったら手を出せなくなるもの」
男（そうか、僕を狙う勢力が、彼女（刺客）をよこしたのか……！）
男（僕はそんなことも知らず、のこのこと家までついてきてしまった……！）
男（ここでならいくらでも証拠隠滅できる！ ここまでか……！）
女「安心して」
男「へ？」
女「護衛を引き受けた以上、あなたの身はあたしたちが守るから」
男「え……え……！？」
男（そうか、僕を狙う勢力が、彼女（刺客）をよこしたのか……！）
男（僕はそんなことも知らず、のこのこと家までついてきてしまった……！）
男（ここでならいくらでも証拠隠滅できる！ ここまでか……！）
女「安心して」
男「へ？」
女「護衛を引き受けた以上、あなたの身はあたしたちが守るから」
男「え……え……！？」
34 2021/01/16(土) 20:52:16.558 ID:N/ANhNQy0
母「みんなー、敵が来たわよー！ この家は囲まれてるわー！」
兄「やっと来たか」
妹「ワーイ！」
父「ふん、わざわざ日本まで来て自分の国の王子を倒そうだなんてとんでもない奴らだ」
ポチ「ワン！」
兄「やっと来たか」
妹「ワーイ！」
父「ふん、わざわざ日本まで来て自分の国の王子を倒そうだなんてとんでもない奴らだ」
ポチ「ワン！」
35 2021/01/16(土) 20:55:18.354 ID:N/ANhNQy0
母「気配から察するに、敵の数は50人、それなりに訓練された兵士たちではあるわね」
父「みんな、武器を用意しとけ」ｻｯ
母「お父さんのナイフ捌きが久々に見れるわね」ﾋｭﾙﾝｯ
父「母さんの鞭捌きもな」
兄「よっしゃ、俺の針投げで一網打尽にしてやる！」
妹「みんなあたしの毒でやっつけちゃう！」
女「あたしはこのかぎ爪で！」ｼﾞｬｷｯ
ポチ「グルルルル……！」
父「……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙﾌﾞﾙ…
母「あらお父さん、武者震い？」
父「みんな、武器を用意しとけ」ｻｯ
母「お父さんのナイフ捌きが久々に見れるわね」ﾋｭﾙﾝｯ
父「母さんの鞭捌きもな」
兄「よっしゃ、俺の針投げで一網打尽にしてやる！」
妹「みんなあたしの毒でやっつけちゃう！」
女「あたしはこのかぎ爪で！」ｼﾞｬｷｯ
ポチ「グルルルル……！」
父「……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙﾌﾞﾙ…
母「あらお父さん、武者震い？」
36 2021/01/16(土) 20:58:29.743 ID:N/ANhNQy0
父「そんなわけなかろう。これは怒りの震えだ」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙﾌﾞﾙ…
父「我が一家を倒すのに、たったの50人？なめるにも程があるッ！」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙﾌﾞﾙ…
父「いいか……我らの技をとくと奴らに味わわせてやれ」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙﾌﾞﾙ…
父「いけッ！！！」
家族全員「応ッ！！！」
ポチ「ワン！」
…………
……
父「我が一家を倒すのに、たったの50人？なめるにも程があるッ！」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙﾌﾞﾙ…
父「いいか……我らの技をとくと奴らに味わわせてやれ」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙﾌﾞﾙ…
父「いけッ！！！」
家族全員「応ッ！！！」
ポチ「ワン！」
…………
……
37 2021/01/16(土) 21:00:39.451 ID:N/ANhNQy0
男（それからまもなく、ガラスが割れる音がして、戦闘が始まった）
男（いや……“戦闘”などと呼べる代物ではなかった）
男（50人はいたであろう兵士たちは、彼女ら一家の手によってものの数分で全滅させられてしまった）
男（狙われてた僕が気の毒になるほどに、一家の戦闘能力は圧倒的であった）
男（かくして僕は、敵対勢力から守られ、無事帰国できることになった）
男（いや……“戦闘”などと呼べる代物ではなかった）
男（50人はいたであろう兵士たちは、彼女ら一家の手によってものの数分で全滅させられてしまった）
男（狙われてた僕が気の毒になるほどに、一家の戦闘能力は圧倒的であった）
男（かくして僕は、敵対勢力から守られ、無事帰国できることになった）
38 2021/01/16(土) 21:03:41.004 ID:N/ANhNQy0
男「ありがとう、おかげで命拾いしたよ」
女「どういたしまして」
男「だけどどうして助けてくれたんだ？ 君たちはあくまで日本のための集団だろう？」
女「あなたが日本にいると察知した政府から、あなたを保護・護衛するよう雇われたのよ」
女「あなたが倒されてA王国との友好関係がおかしくなったらまずいって判断でしょうね」
男「そういうことだったのか」
女「国に帰ったら、王様になるんでしょ？」
男「ああ、すぐ王位を継承することになるだろう」
女「いい政治してね」
男「もちろん！ 君と過ごした思い出は一生忘れないよ！」
女「どういたしまして」
男「だけどどうして助けてくれたんだ？ 君たちはあくまで日本のための集団だろう？」
女「あなたが日本にいると察知した政府から、あなたを保護・護衛するよう雇われたのよ」
女「あなたが倒されてA王国との友好関係がおかしくなったらまずいって判断でしょうね」
男「そういうことだったのか」
女「国に帰ったら、王様になるんでしょ？」
男「ああ、すぐ王位を継承することになるだろう」
女「いい政治してね」
男「もちろん！ 君と過ごした思い出は一生忘れないよ！」
39 2021/01/16(土) 21:05:38.454 ID:N/ANhNQy0
大臣「王子、全く何をやってるんですか！ お忍びで日本に行くなど！」
男「すまない、大臣。迷惑をかけた」
大臣「反王子勢力も兵を送り込んでいたようですが、本当によくご無事で……」
男「アサシンちに泊まったおかげで助かったよ」
完
男「すまない、大臣。迷惑をかけた」
大臣「反王子勢力も兵を送り込んでいたようですが、本当によくご無事で……」
男「アサシンちに泊まったおかげで助かったよ」
完
42 2021/01/16(土) 21:10:03.674 ID:wMKJRtwQ0
なるほど、いい落ちだ
面白かったぞ乙
面白かったぞ乙
43 2021/01/16(土) 21:10:42.055 ID:ONcfbA/e0
乙
そういうオチか
そういうオチか
40 2021/01/16(土) 21:08:03.307 ID:HNC5tc0td
おつ
41 2021/01/16(土) 21:09:02.398 ID:qB8mSXS8r
乙
面白かった
面白かった
44 2021/01/16(土) 21:15:31.402 ID:XsU4zPr60
落ちワロ
45 2021/01/16(土) 22:14:41.511 ID:SysJlYeE0
最後でクスっとした
46 2021/01/16(土) 22:58:27.005 ID:t1yNZgFN0
綺麗に落ちたな乙
引用元:
https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1610794815/
コメント
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闇子
が
しました
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