「絶対に開けてはならん、人に見せてもならん」祖父の呪い箱 洒落にならない怖い話
癌に侵され亡くなった祖父が生前に俺に託した奇妙な細工箱。処分を頼まれていたのに、それに魅入られてしまった俺は、取り返しのつかないことをしてしまい――。
俺が中学三年生の時、祖父が亡くなった。
胃癌だった。
初孫ということもあり、俺はとても可愛がってもらった。
俺も小さい頃は祖父の大きな膝で本を読んでもらうのが大好きだった。
祖父が亡くなる3日前に、病院に御見舞いに行った時の事。
痩せ細って入院前の面影がすっかり無くなった祖父は、
か細い声で俺を近くに呼び寄せると組木細工の箱を渡した。
「じいちゃん、これなに?」
と聞くと、祖父は
「わしが逝った後、棺桶に入れてくれんか」
と微笑んで言った。
「なに?ばあちゃんからもらったラブレターでも入ってるの?」
と冷やかし半分でニヤニヤしながら言うと
「そんな色っぽいものじゃないよ」
と笑って答え、その後
「絶対に開けてはならんよ。人に見せてもならん」
と真剣な顔で付け加えた。
それが祖父の声を最後に聞いた瞬間だった。
その後、俺がジュースを買いに行っている数分の間に昏睡状態に陥ってしまったからだ。