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怖くない不思議な話

昔のことだから勘違いも入っているかもしれんから、まあ流し読みしてくれ
俺が保育園児くらいのガキだった頃、変わった蛇を見た。

俺はガキの頃都会から田舎に引っ越すことになった。
当時の俺は「田舎の子供は乱暴だ」って偏見があって、保育園に入れられるのだけは断固拒否してたんだよね。
でも両親は仕事で忙しかったから、しかたなく日中は祖父母の家に置かれることになった。

じいちゃんは畑仕事一筋の堅物だったから、俺は優しくて穏やかなばあちゃんにいつもべったりくっついてた。
ばあちゃんは普段山の麓くらいのとこの畑で作業してて、俺はその周辺で遊んだり、手伝いをしたりして時間を潰した。
まあそんな感じでのんびりとした日々を過ごしてた。

ある日俺は畑のすぐ側にある山に入ってみようかなって思い立った。
いつもは木々が隙間なくそびえ立ってるその山に怖くて入ろうなんて思わないんだけど、その時は不思議と好奇心がわいた。

ばあちゃんの目を盗んで山の方へ行き、急勾配の山道(獣道?)を進んでいった。
最初は見たことないほど大きな木とか虫とかにテンションがあがってたんだけど、段々疲れてきて岩に座って休憩することにした。
俺は水筒のお茶飲んで、その辺で取った木の実を食べてぼーとしてた。

すると周囲からパキパキッて枝の折れる音と、草とか葉っぱの上を這うズズズッみたいな独特の音が聞こえてきた。
「あ、蛇の音だ」って咄嗟に思った。
蛇は畑で見慣れていたしね。
大きなアオダイショウでも居るんじゃないかと思って周りを見渡した。
でも何もいなかった。

そこでふと気付いたんだけど、本当に何も居なかったんだよ。
虫とか、狸とか、動く生物が。ちっちゃい羽虫くらいいてもいいもんだと思うんだけど。
奇妙だとは感じたけど、俺はその空間がなんか心地よくて帰ろうとは考えてなかった。



【【戦慄】ドスの利いた声で「動くな!」ばあちゃんの視線の先には目や口といった顔がない大蛇が…あれ?何か変だ。俺が奪われたものは、まさか・・・!?】の続きを読む