ホラー漫画とは、漫画のジャンルのひとつで怪奇漫画、恐怖漫画とも言われています。ホラーと一口に言っても、超常現象ものや怪異もの、幽霊ものに生理的恐怖にうったえるもの、サスペンスやミステリー要素が絡んだものと幅広くジャンルは存在します。子供の時に「楳図かずお」や「つのだじろう」などの作品を読んでゾッとした人もいるかと思いますが、思い出すとノスタルジーが喚起され、たまらない魅力があるのもホラー漫画の良いところではないでしょうか(おうまがタイムズ)
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時代が変わろうとも、色褪せない怪奇漫画の世界。これまでにも漫画家ごとについての研究書はあったが、様々な作品や作家の歴史を体系的にまとめた『戦後怪奇マンガ史』(米沢嘉博:著、赤井祐一:編/鉄人社)が刊行された。
著者は漫画評論家であり、コミックマーケットの発起人としても知られる故・米沢嘉博である。いわゆる「通史」として、怪奇漫画がまとめられた本はなかったというのは編者である赤田祐一。
冒頭、怪奇漫画は人が氏ぬ、残虐な描写が多いことから「冷遇されてきた」とする本書。しかし、米沢による「漫画の最上の部分と最低の部分は〈変さ〉において通底している」という持論を受け継ぎ、怪奇漫画の全体像をまとめようと試みたという。
編者は「ホラーブームが生まれても怪奇漫画にスポットは当たらない」と主張する。しかし、時代性と関わりなく愛されるのが怪奇漫画の魅力でもあるというが、じつは、その中身は細分化されている。
純粋に読者を怖がらせる「恐怖漫画」は、その一例である。対象読者は少女や低学年の子供たちであるが、じつは、主人公には少女が多いという。
その理由は、少年は目の前の恐怖へ立ち向かい、謎を解明しようとするからで、純粋に怯え、恐怖に震える少女が選ばれるというわけだ。
その第一人者として知られるのが、1955年に貸本漫画家としてデビューした楳図かずおだ。なかでも特筆すべきなのはデビューから10年後、1965年発売の少女漫画誌『週刊少女フレンド』で、
浜慎二の『白い血』に続き、同誌の22号~25号でスタートした短期連載作品の『ねこ目の少女』と、32号からの短期連載作品『ママがこわい!』である。
楳図の作品は「他の作家を圧倒するほどのインパクトを残した」と編者はいう。時代背景として、当時の少女漫画には「かなしい、こわい、ゆかい」の3つの柱があり、怪奇漫画であってもミステリー、 サスペンス、ファンタジー、SFの世界観があった。しかし、楳図による『ねこ目の少女』は、読者へ恐怖を与えることだけを純粋に追い求めていたとしている。
楳図ならではのテクニッとして語られるのは、理由のない後味の悪さだ。次作『ママがこわい!』では、入院する母親を少女が訪ねるところから物語が始まる。
少女は病院で自分を蛇だと思い込んでいる女と出会うのだが、やがて母親も“蛇女”として少女へ襲いかかるという展開だ。
生理的嫌悪感を与える蛇に、母という本来なら「幸せのシンボル」である存在を重ねる設定が特徴でもあるが、この美少女とグロテスクの対比というのは、のちに楳図作品の軸になっていく。
文=カネコシュウヘイ
(略)
『戦後怪奇マンガ史』(米沢嘉博:著、赤井祐一:編/鉄人社)
http://ddnavi.com/news/316321/a/



