報告者の母方の実家はかなりの田舎で、村というよりも集落といっていいような場所なため、そういった土地柄か不思議な言い伝えや伝承が色々と残っていたそうです。報告者も子供の頃、そんな古くから伝わる不思議な存在と遭遇したことがあったそうで――(おうまがタイムズ)
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母方の実家に行ってきたので、そこら辺にまつわる与太話をしようと思う。
ちょっと長いかもしれないが、話半分程度にお付き合いいただけたら幸い。
俺の母方の実家と言うのが本当にド田舎で、今でこそ山の上の方に高架道路なんぞが通っているが
昔は、山間を縫うように走る狭い道に、沿うようにして家が並んでいて、村と言うよりは集落と
言ってもいいような、そんな場所だった。
そんな場所だからかは知らないが、昔話やら伝承やら、そう言った類の胡散臭い与太話には事欠かず
かく言う俺も、子供の頃からここを訪れるたびに少なからず胡乱な体験をしていたりした。
あれは両親の盆休みが終わっても、ひとりで数日の間は泊まるようになっていたから、小学生の
高学年かもしくは中学生の始めの頃だったかと思う。
その日は朝からずいぶんと暑く、俺は婆ちゃんの家の敷地内を流れる川べりで、魚やら虫やらを
採るなり、涼むなりをして悠々自適に過ごしていた。
川と言っても石壁で両脇を囲われた用水路のようなもので、水位は当時の俺の足のすね中程まであるか
ないかだが両脇の壁自体がえらい高く、川底に降りれば大人でもすっぽりと隠れてしまうくらいある。
もっとも玄関から出てちょっと左に行った所にある石階段を降りると足場があって自由に降りることが
できるから、そんなに危ないと言うわけでもない。
村に水道が来る前までは、ここで野菜やら何やらを冷やしたり、ちょっとした洗い物などをしていたらしい
そんなこんなで時間はあっという間に過ぎ、夕方に差し掛かった頃だろうか、どこからか強い風が吹き始め、
陽が沈む頃には雨を交えたそれが轟々と唸りをあげながら猛威を振るっている。
その日、俺は婆ちゃんの家に通い始めてから初めて、そこでの台風と言うものを経験することになった。
ちょっと長いかもしれないが、話半分程度にお付き合いいただけたら幸い。
俺の母方の実家と言うのが本当にド田舎で、今でこそ山の上の方に高架道路なんぞが通っているが
昔は、山間を縫うように走る狭い道に、沿うようにして家が並んでいて、村と言うよりは集落と
言ってもいいような、そんな場所だった。
そんな場所だからかは知らないが、昔話やら伝承やら、そう言った類の胡散臭い与太話には事欠かず
かく言う俺も、子供の頃からここを訪れるたびに少なからず胡乱な体験をしていたりした。
あれは両親の盆休みが終わっても、ひとりで数日の間は泊まるようになっていたから、小学生の
高学年かもしくは中学生の始めの頃だったかと思う。
その日は朝からずいぶんと暑く、俺は婆ちゃんの家の敷地内を流れる川べりで、魚やら虫やらを
採るなり、涼むなりをして悠々自適に過ごしていた。
川と言っても石壁で両脇を囲われた用水路のようなもので、水位は当時の俺の足のすね中程まであるか
ないかだが両脇の壁自体がえらい高く、川底に降りれば大人でもすっぽりと隠れてしまうくらいある。
もっとも玄関から出てちょっと左に行った所にある石階段を降りると足場があって自由に降りることが
できるから、そんなに危ないと言うわけでもない。
村に水道が来る前までは、ここで野菜やら何やらを冷やしたり、ちょっとした洗い物などをしていたらしい
そんなこんなで時間はあっという間に過ぎ、夕方に差し掛かった頃だろうか、どこからか強い風が吹き始め、
陽が沈む頃には雨を交えたそれが轟々と唸りをあげながら猛威を振るっている。
その日、俺は婆ちゃんの家に通い始めてから初めて、そこでの台風と言うものを経験することになった。
【【怪異】「かあんかあん」台風の日に音を鳴らして川を登っていく“そういうもの”】の続きを読む