40: 1/2 2009/02/16(月) 22:22:44 ID:2I1dHEOA0
実怖「見ただけで災禍となるくねくねの神隠しで消えたTくん」
「くねくね」とは、 視界に入る程度なら問題ないが、それが何であるかを理解すると精神に異常をきたし、最悪の場合には命を奪われるといった見るだけでも災禍となる、タブー的存在です。主に夏、田舎の田んぼや川の近くに出没します。もし、この夏白いくねくねしたものが視界に入っても、決して見てはなりません――。
もう十数年前になる。
いつも一緒に学校から帰る、仲のいい友達Tとその日も道草を食いながら帰ってた。
その日は土曜の半ドンで、一斉下校だったから周りにぞろぞろ同小の人間が歩いてた。
けど、悪ふざけが過ぎる俺達は、気がつけばそんな集団から離れてぽつりと道端に
二人きりになっていた。
田舎なので民家もぽつりぽつりとしかない田んぼに囲まれた道を
猫じゃらしを持って歩き続ける。
そいしたら急に、Tがその猫じゃらしを持った手を左のたんぼに向けて言った。
「なぁ、あの人どうやって歩いてんのかなぁ?」
俺はTの指差す方を見たが、誰もいない。
「はぁ?どこ?」
「あそこ、Nくんのじーちゃんの田んぼの前くらいにおるやん、白い人が」
距離にして200mくらいだったか、
俺の視力は両目とも2.0だったから見えないはずはなかった。
「おい、見に行こうぜ」
Tが俺のランドセルをつかんだ。
けど、俺はなんだか無性に怖かった。
俺には見えない何かが怖かったのか、
俺には見えない何かが見えているTが怖かったのか、
説明できない妙な恐怖がわいてきた。
「あ!俺お母さんにお使いたのまれてたんだ!急いで帰らなきゃ」
今時(と言っても十数年前だけど)ありえないような言い訳をして
俺はTの腕を払って駆け出した。
途中、一度だけ振り返ってTを見ると、田んぼと田んぼの間をすいすい歩いて、
あの何かがいた方向に歩いて行っているのが見えた。