爺ちゃんの破邪鏡

戦後の闇市を生き抜いてきたという爺ちゃんが亡くなる前、急に鏡を買ってきてくれと言い出した。なんでも「自分が弱ってきているからアレが入ってくる」らしいのだが、意味が分からず、言われたままに鏡を買ってきて――(おうまがタイムズ)



54 2017/09/12(火)
かなり変な話なんだが書いてみる

2年前に84歳で氏んだうちのジイちゃんなんだが、
戦後の闇市を生き抜いてきた世代で、
背中には見事な不動明王の墨があった。
まあこれは本題には関係ない。

このジイちゃんが氏ぬ3年ほど前から半ボケ状態になって、
自室で寝たきりで過ごすことが多くなった。
暴れたり徘徊するわけではないし、
トイレには自分で起きてくるのでそんなに手はかからない、
食事の世話は俺の嫁がやっていたが、食はどんどん細くなっていったな。
それがある朝、家族がキッチンで朝食をとっているところに、
背筋をのばして大股で歩いてきて、
突然「鏡を買ってきてくれ」と言い出した。

「ジイちゃん、鏡は部屋に掛けるのか。なんなら鏡台を持っていこうか」と聞くと。
首を振って「庭にすえる」って言う。続けて、
「俺はもう長くないから、あれが入ってこようとしている。ひっ返させねばならん」
こんな話になてらちがあかない。
「あれって何だい?何が来るって?」 
「・・・・」
「鏡くらい いいけど。どんくらいの大きさ?」

ジイちゃんは少し考えた後、手で50cm四方くらいを示したんだ。
でまあ、それでジイちゃんの気が済むのならいいかと思って、
その日の仕事帰りにホームセンターで壁に掛ける用の鏡を買ってきた。



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