都市伝説 No284 世にも美しく恐ろしい亡者達の歌声
そのテープには、この世のものとは思えないほど、美しい音楽が録音されていた。まるで魅入られたかのように何度も何度も聴いていると、なにかおかしな違和感を感じはじめた彼は――。
ある音楽をやっている知人の話。
昔、自分のバンドの曲やらカバーする曲やらを、次のライブにサポートを
頼んだ人に渡さなきゃいけなかったんだって。
その人からテープを預かり、彼は曲を入れ始めた。
カバーする曲を聞きながら、録音してると録音が終わった。
確認のため再生してみると録音したはずの曲が入ってない。
その代わり、ものすごくきれいな音楽がはいっている。
ミュージシャンな彼はその曲を吸い込まれるように聞いたそうだ。
なんだか録音したものが入ってないことなんかどうでもよく思えてきたらしい。
このきれいな、この世のものとは思えない音楽を、どうしても自分のものにしたい。
そう思ってもう一回再生してみたそうだ。
するとどうだろう。
さっきとなんだか違う。
でもきれいな音楽だった。